政府の働き方改革の一環として取り組みが進められている「治療と仕事の両立支援」。厚生労働省によると、現在、日本の労働人口の約3人に1人が、何らかの疾患を抱えながら働いているという。

 両立支援の推進に向け、厚労省は2018年度の診療報酬改定で、「療養・就労両立支援指導料」と名付けた報酬を新設。続く2020年度改定において算定対象や要件を緩和した。来年4月に迫る2022年度改定でもさらに見直しを進め、評価を拡充する見込みとなっている。改定を議論する厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の11月5日の会合で、その方向性が明らかになった。

 2018年度改定で新設された療養・就労両立支援指導料は、対象疾患を癌に限り、主治医が患者と企業の産業医から得た勤務情報を踏まえ、治療計画の見直しや再検討などを行った場合に6カ月に1回、1000点(1点は10円)算定できる仕組みだった。また、それを取得する医療機関が、(1)療養環境の調整に係る相談窓口を設置し、専任の看護師または社会福祉士を配置、(2)就労を含む療養環境の調整について、相談窓口などで患者からの相談に応じる体制があることを周知──している場合に、「相談体制充実加算」(500点)の上乗せ算定が認められた。

 だが、対象ががんに限定されているほか、患者の勤める企業が産業医を配置していなければならず、主治医が治療計画の見直しや再検討をするまで報酬を算定できないといったハードルの高さから、同指導料の算定回数は全国で月10回ほどにとどまった。

 そこで2020年度改定では、がん以外に、脳血管疾患や肝疾患、難病を対象に追加。主治医の連携相手は、企業側の産業医だけでなく、従業員の健康を管理する保健師や企業の担当責任者にも拡大され、主治医が患者の情報を企業側に提供して患者に療養上必要な指導を実施すれば報酬を算定できる仕組みに改められた。点数は、「6カ月に1回、1000点」が、改定後は「月1回に限り(3月を限度)、初回800点、2回目以降400点」に変更された。

 また、窓口を置くことを評価した相談体制充実加算は廃止され、「両立支援コーディネーター養成研修」を修了した専任の看護師または社会福祉士が、療養上の指導に同席し、相談支援を行った場合を評価する「相談支援加算」(50点)が新設された。

 2022年度改定ではそれがまた改められる。両立支援にアプローチする間口・方法を広げようと、厚労省は11月5日の中医協で以下の3点を提案した。

  • 指導料の対象として、「心疾患」「糖尿病」「若年性認知症」を追加

  • 主治医と連携する産業医等については、現在は対象外の「衛生推進者」(従業員10人以上50人未満の事業所で、安全衛生推進者を選任する必要のない金融・広告・映画演劇・教育研究・保健衛生などの業務において、「衛生業務」を担当する者)を追加

  • 相談支援加算の対象職種に、公認心理師(臨床心理士)・精神保健福祉士を追加

 これに対し、中医協の診療側・支払側委員からは賛同する意見が相次ぎ、このまま実行に移される公算が大きい。