衆議院の解散総選挙の可能性も

 その見立てはさておき、中間報告に医療費の負担増に関する記載がなかったとしても、国の財政事情を踏まえれば最終報告に入らないことは考えにくく、75歳以上の医療費2割負担は、そのうち間違いなく実行に移されるだろう。ただ、実現するのはあくまで「そのうち」であって、時期はとんと読めない。

 なぜそんなことを言うのか。それは取りも直さず、70~74歳の窓口負担2割引き上げ時の経緯があるからだ。

 歴史を振り返って恐縮だが、70~74歳の医療費の窓口負担割合は、小泉純一郎政権下の2006年度の医療制度改革で2008年度から1割から2割に引き上げることが決定した。だが、2007年度の参議院員選挙で惨敗した当時の自公政権は高齢者の反発を恐れて施行直前に引き上げを凍結。以来、毎年約2000億円の公費を投じて1割に抑え、その後の民主党政権もそれを踏襲してきた。

 2012年末には再び自公政権が政権与党の座を奪取するも、トップの座に就いた安倍晋三首相は2013年度も70~74歳の医療費の窓口負担を1割に据え置いた。2012年秋には、厚生労働省が2割負担の実現に向け、新たに70歳以上となる人から順次2割に引き上げる案を提示して、関係団体の利害が衝突しがちな社会保障審議会医療保険部会の合意を取り付けていた。にもかかわらず、安倍政権は2割引き上げを見送り。翌年夏の参院選をにらんでの措置だった。

 結局、70~74歳の2割負担は2014年度からスタート。当初の予定から6年遅れた。

 今は「安倍一強」とも言われる政治情勢で、11月20日には安倍晋三首相の通算在職日数が憲政史上最長となったところ。これだけ長期政権が続く要因の一つに「野党の多弱」を挙げる指摘は多い。だが、ここへ来て、「桜を見る会」問題などによって、首相には逆風が吹き始めたのも事実だ。すると、自民党内の政治力学が崩れ、首相がどんどん窮地に追い詰められ、たまらず衆議院の解散総選挙に打って出る可能性も十分ある。また解散せずとも、2021年9月には首相の自民党総裁任期が満了となり、その1カ月後には衆院任期も満了を迎える。

 何を言いたいかといえば、この先、政治情勢はともすれば不安定になりがちで、そうなれば、国民に痛みを強いる改革は、“お約束”の「先送り」パターンに陥りかねない。そして結局ずるずるといく。そんな未来図が容易に想像されるが故に、筆者はうんざりしてしまうのだ。お決まりパターンはできればもう見たくない。

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