新たな報酬体系のヒントはある報告書の中に…

 そのヒントとなるのが、公益財団法人医療機器センターが今年8月にまとめた、ある報告書だ。同センターに設置された、有識者13人からなる「デジタルヘルスの進歩を見据えた医療技術の保険償還のあり方に関する研究会」が作成したもので、デジタルヘルスの特性を踏まえた新たな医療技術の評価のあり方について提言している。

 一財団の提言内容が、国の方針として採用されるのか、疑問に思う向きもあるかもしれないが、同センターは医療機器に関するわが国唯一の中立的な機関で、調査結果や政策提言等は国の施策に適宜生かされている。

 今回の研究会メンバー13人の中には、国の医療機器政策を所管する厚労省医政局長のOBや、同省の元医系技官で、保険局医療課、医政局経済課等に在籍した、診療報酬・医療政策に精通する人物も参画しており、その議論の中味には厚労省も大いに注目していたもようだ。内々では適宜情報交換もされていたとみられる。

 今回の報告書の肝は、デジタルヘルスに関する医療技術の保険償還として、アウトカムを軸に据える評価法の導入を挙げている点だ。

 そもそも診療報酬は、医療の質に応じて決められているが、一般に医療の質を評価する方法としては、良い診療を受けるための設備や人員がそろっているのかを見る「ストラクチャー評価」、医療者により実施された診療やケアが正しく行われているのかを見る「プロセス評価」、そして診療・ケアにより実際に得られた効果を見るアウトカム評価の三つがある。

 現在の診療報酬は圧倒的にストラクチャー評価が多いのが実態。例えば、看護職員1人に対する入院患者の人数の割合などによって、入院基本料は数段階に分かれている。また近年は、「良い医療」の標準である診療ガイドラインの策定などが進むことによって、プロセス評価も相当増えつつある。

 一方、アウトカム評価の導入はごくわずかで、主だったものは数個に限られる。その理由としては、状態がほとんど変化しない病態や、治療効果を見る良い指標が存在しない疾病にはアウトカム評価の導入はもともと困難であることに加えて、いわゆるクリームスキミング(いいとこ取り)が起きて、医療機関が治りやすい患者だけを集めてしまう懸念もあるため、厚労省はこれまで導入に慎重な姿勢を見せていた。

 ただし、逆に言えば、診療や指導による改善が期待され、かつ治療効果を見る良い指標がある疾患で、別途クリームスキミングが起きないような方策が講じられていれば、アウトカム評価導入への障壁はない。

 報告書ではそうした点も考慮に入れた上で、デジタル機器のアウトカム評価としては、治療効果そのものはもちろん、患者の利便性向上や医療従事者の負担軽減といったところにも着目すべきと主張。デジタル機器の導入による医療費抑制効果も踏まえ、その分を既存点数に上乗する形で評価する、新たな報酬体系のイメージを描いた。

 さらに、提言はそれだけにとどまらない。