「どっちも日医の完勝でしょ」

 厚生労働省のさる高官は筆者にこう言ってのけた。12月17日に2020年度の診療報酬改定率が決定。翌々日の19日には、安倍晋三首相が議長を務める政府の「全世代型社会保障検討会議」が中間報告を公表しており、双方の内容に関してだ。

 まず改定率から見ていこう。加藤勝信厚労相と麻生太郎財務相の折衝により、2020年度診療報酬改定は、医療機関の人件費や設備投資費に当たる「本体部分」を0.55%引き上げる一方、薬価を0.99%、医療材料価格を0.02%引き下げて、全体をマイナスとした。全体の改定率はマイナス0.46%。国費の支出は500億円程度減る。

 本体部分のプラス0.55%は2018年度改定と同じ。ただ、このうち0.08%分は、特例として救急病院の働き方改革に振り向けるよう使途を限定した。なお大臣折衝では、勤務医の働き方改革として、地域医療介護総合確保基金でも手当てすることとし、公費143億円程度を計上した。

 次期診療報酬改定率を巡り、財務省は当初、全体で2%台半ば以上の引き下げが必要だとして、本体部分もマイナス改定とすることや、病院と診療所で改定率に差を付けることなどを求めていた。配分への注文は、外来医療中心の診療所より、入院や救急医療も担う病院の報酬を手厚くすべきとの考えからだ。

 一方、日本医師会(日医)は働き方改革実現のためにも大幅なプラス改定が必要と主張。その後、予算を多く確保したい厚労省とタッグを組んで、現実路線として、本体部分で前回改定を上回る0.55%超を目指してきた。

 結果は本体部分0.55%増と、前回と同水準を確保したのだから、財務省との戦いに勝ったと言っていいだろう。改定率調整の過程で、財務省は本体0.2~0.3%増であれば譲歩する考えも見せたというが、結局、それすらかなわなかった。一矢報いたのは、病院の働き方改革に手厚い配分が行われた点。病院と診療所で改定率に差を付けるべきとの提案が一部認められたと捉えられなくもない。

 ともあれ、日医の横倉義武会長は、12月18日の定例記者会見で、本体部分が0.55%のプラスとなった2020年度診療報酬改定について「満足はいかないが、厳しい国家財政の中、一定の評価をしたい」と語った。