累計約1500例の臨床研究でも高精度を維持

 広津氏は九州大学在籍中だった2015年に、線虫の有用性を確かめる臨床研究を論文化している。大腸がん、乳がんなど7種類のがんを発症し、ステージ0から4とさまざまな段階のがん患者24人と218人の健常者を対象に、線虫による検出の有効性を調べたところ、早期とされるステージ0-1を含めすべてのステージで約88.9-100%と9割以上の患者を検出できた。統計学上の感度(がん患者を正しくがん患者と識別する)は95.8%、特異度(がん患者でない人を正しくがん患者でないと識別する)95.0%と、高い精度でがんの有無を識別できた。

(写真:皆木 優子、以下同)

 人間ドックなどでよく用いられる「CEA」「CA19-9」などといった既存の腫瘍マーカーは、ステージ3-4の進行がんでも、感度は30~50%程度、ステージ0-1の初期がんでは10%程度の感度しかない。N-NOSEは、がんを検出する1次スクリーニング検査として高い有用性を持つことが分かる。

 新たながん検査法が登場した場合、初期の基礎研究段階では好成績を上げていても、臨床研究段階になって症例数が増えると精度が下がることが多い。その点、N-NOSEは累計約1500例の臨床研究でも高精度を示しており、実用的な検査法である可能性は高い。

 しかも線虫自体の提供コストは安い。これに尿検体採取キットやその輸送コスト、判定、検査報告などの費用を加えても、受診者向けの検査費用を1万円以内で抑えることが可能だという。