非侵襲で検査できる意義は大きい

 採血なしに血糖値を高精度で測定できる意義は大きい。検査値が数秒で分かるほか、患者や医療スタッフの感染リスクや手間を軽減できる。注射器や検査チップなどの医療廃棄物も出さなくてよい。

 1型糖尿病や重症の2型糖尿病など、インスリン投与が必要な場合、毎日数回、血糖値を測らなければならない。そのたびに消毒と針刺しが必要で、患者や家族にとって大きなストレスになっている。検査の苦痛がなく、消耗品の購入が不要になれば、将来的には糖尿病予備群や健康な人の自己管理にも利用できる可能性がある。

 一般的な定期健康診断では、前夜遅くの食事と朝食を控えるように指示され、空腹時の血糖値だけを測定する。空腹時血糖が110〜125mg/dLならば、空腹時血糖異常(IFG)、126mg/dL以上なら糖尿病と判定されるが、空腹時血糖値は正常なのに食後の血糖値だけが正常より高くなる食後高血糖(IGT)は見逃されてしまう。

 糖尿病や予備群を正式に判定するには「糖負荷試験」と呼ばれる検査を行う必要がある。人間ドックでは一般的なメニューだが、定期健康診断には通常含まれない。この検査は、10〜14時間の絶食の後、検査開始から2時間の間に採血4回と採尿が必要なため、ハードルが高い。採血不要で食後高血糖かどうかを知ることができれば、糖尿病予防の推進に大きな足がかりとなりそうだ。