マイクロRNA検査の課題は…

 マイクロRNA検査には課題もある。これまでの検討から、健常とがん発症の判定は、数種類のマイクロRNAを用いることで高精度に判別できることが示された。しかし卵巣がんなど、がんの種類によっては、良性疾患をがんと判定してしまう場合があるという。これについても「あなたの卵巣に何か重大なことが起きている可能性は高いと患者に伝え、検査を勧めることができるので価値はある」(落谷氏)。

 13種類のがんを一気に判別する手法も検討されている。これまでに集積した患者のマイクロRNAプロファイルを機械学習(ディープラーニング)に投入したところ、13種類のがんと健常(非がん罹患)の計14グループを高い精度で識別することができた。機械学習の挙動を解析すると、2655種類のマイクロRNAのうち、約200種類の貢献度が高く、さらに300種類を加えた500種類が識別に使われている。

 ディープラーニングの結果から、マイクロRNAが3~10個でがんと健常の識別が可能となり、40~60個にすると、健常、良性疾患、がんの識別ができることが分かってきた。発病する人が少ないため、症例を集積しにくい希少がんなども、ディープラーニングや統計手法の進歩によって、定期健診などスクリーニングで見つけられるようになる可能性があるという。

 研究プロジェクトでは、認知症におけるマイクロRNAの有用性も検討された。国立長寿医療研究センターの研究チームは、認知症患者約5000人の血液中マイクロRNAを調べ、その結果を機械学習にかけた結果、認知症がない健常高齢者を含む約1600人のデータから、3大認知症と呼ばれるアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体認知症を十分な精度で判別することに成功した。