健康人生100年時代に向けてますます重要になる、個々人の「行動変容」。健康診断や人間ドックを受診しても、受診しっぱなしで何も対策をしない――。実際に、こうしたケースは少なくないだろう。

本来、自らの健康に対する大きな気付きのポイントであるはずの健康診断や人間ドックを、いかに行動変容につなげる機会にするか。そんな視点からの試行錯誤に挑む取り組みが目立ち始めてきた。

同時に見えてきたのが、これまでの健康診断・人間ドックではあまり対象とされていなかった「歯」へのフォーカスだ。新設の人間ドック施設と注目を集める研究プロジェクトの事例から、今後の方向性を見る。


「健康へのリテラシーを維持してもらう」

 通路の両端に仕立てられたおしゃれな本棚には、「幸福」や「芸術」、「旅行」などをテーマにした書籍が並んでいる。

人間ドック施設とは思えない雰囲気の通路(写真:川島 彩水、以下同)

 ここは、2018年10月に東京都・日本橋(中央区)にオープンした人間ドック施設「KRD Nihombashi」だ。「健康に関する本だとか、医療に関する本だとかは置いていない。健康でいることで、こんな楽しみが広がりますよ、夢が広がりますよ、といった想像が広がるような本を置いている」。院長の田中岳史氏はこう語る。

 「予防に資する施設」を標榜するKRD Nihombashiは、単に検査をこなして結果を戻すという“ルーチンワーク”からの脱却を目指した。併設するイベントスペースでは、受診者などを対象に、栄養やメンタルの専門家を招聘したセミナーや、ヨガ・マインドフルネスなどの教室を開催。「健康へのリテラシーを維持してもらうための様々な工夫を凝らしている」(田中氏)。

「受診者に伴走していく」と語る院長の田中岳史氏