半年で2倍超も、可能性は一つに絞らず

 医療機関のパートナーとの連携は長年にわたるバイオ事業での研究者とのネットワークが生かされることになる。最初のパートナーとして、日本屈指の国立大学である京都大学と組めたのも長年のバイオ事業の中で関係を培ってきたからだった。こうして米国企業などとも協力し、2年を経た2015年4月、200以上の遺伝子を調べられるがん遺伝子検査「OncoPrime」の提供を始めるに至る。研究者などのネットワークで導入する大学を増やし、岡山大学、北海道大学などが採用。2018年8月には13施設に広がり、さらに2019年2月には30施設に。半年で倍増を超える拡大を達成した。

 がんの遺伝子検査のうち2つの検査が保険適用となったが、OncoPrimeは自由診療として検査を広めている。

図1 OncoPrimeの検査報告書のサンプル(提供:三井情報) 患者のがん組織中に認められ、治療に関係する可能性がある遺伝子変異(マーカー)と、その変異に対して効果が期待される薬剤(開発中の薬剤も含む)や変異がある症例を対象とした治験が提示される。

 一般論として、保険適用になると検査費用は公定価格となり、企業にとってはいったん固まると末端価格への決定権は及びづらくなる。自由診療で検査を提供していく方が検査費用は自由に設定可能だ。このため検査を広げるには保険診療は好ましいが、企業の利益とは別問題だ。

 その意味で三井情報は「二正面作戦」を取っていることになる。一つは、自社で提供している自由診療OncoPrime。もう一方は解析システムの開発で関わった、保険適用のOncoGuide NCC オンコパネルシステム。市場の動向を慎重に見極めつつ、双方の関係の中での自社の立ち位置を探っているようだ。