人手では扱いきれぬ「データの増大」

 がんのゲノムを読むと、30億もの「DNA」が並んだ配列データを得ることになる。その並び方に従い、命を保つ様々な働きを担う基になる「タンパク質」が合成され、人の体は形作られている。ゲノムが人体の設計図と呼ばれるゆえんだ。その配列は、人によって異なり、また体の場所によっても異なる。時間とともに変化し、異常が蓄積するとがんになる可能性がある。

 がんの遺伝子検査は、その異常を見つけるための検査となる。保険適用の検査は数百の遺伝子に注目して異常を探すもの。この検査はまだまだ進化していくのである。そうした異常には意味があるものと、意味のないものがある。その数は数百では済まない。その中で、治療方針など医師の判断に影響する変異をいかに見つけて治療に生かすかが問われてくる。例えば、ある異常が、ある薬に効きやすさに影響しているならば、該当する薬を使うかどうかの判断に生かすことができる。遺伝子の異常を知ることで、がんをより効果的に攻撃できるのだ。

 そうした意味のあるなしは、科学者が過去に行った研究結果から判断できる。本特集連載の冒頭でも紹介したように、論文だけで2800万近くもある。そこから、DNAの異常との紐付けを行い、その意味を解読していくことは大きな負担となる。今後、遺伝子検査の対象となる遺伝子が増えてくると、いずれ人手では対応しきれなくなる。Xcooの手がける、こうした遺伝情報の意味づけをしていくアノテーションが本領を発揮するのは、人手では限界が来たときとなる。なお、医師の判断に関わる遺伝子の変異は「Actionable変異」と呼ばれ、薬の効果を左右する遺伝子の変異は「Drugable変異」と呼ばれている。これらを見極めるのが大切だ。