「UX」という異分野が描く未来

 本特集連載の第1回では、IBMのワトソンを使ったゲノムの解析について見てきたが、Xcooはこれを別の形で実現しようとしている。

 ユーザーインターフェイスへのこだわりは大きな違いと言っていい。データの収集と解析に加えて、自然言語解析と呼ばれる人工知能(AI)も組み合わせ、意味づけや判定といったアノテーションを自動化して、レポートの出力をしていくというプロセス。Xcooはここに医師や患者にとっての「分かりやすさ」を加味するのが、差別化の要点となる。

図1●医師向けのレポートのイメージ(提供:Xcoo)

 医療の分野では既に、例えば障害者にとって医療器具などを使いやすくしていくといった課題にUXの考え方が適用されている。その考え方は、これからゲノム分野にも及ぶ可能性はある。遺伝子検査が広がっていく中で、結果について誰も理解できず、正しく利用されなければ意味はない。我先にそこに力を入れ、技術やノウハウをためていけば、大きな参入障壁を築ける可能性はある。Xcooはそこに異分野から勝負を懸ける。電話の再発明がコンピューター企業からなされたように、これは周辺領域から生じるディスラプティブイノベーションの動きの一つといっていいかもしれない。

 次は、また観点を変えて遺伝情報を読み取るシーケンサーの技術を見ていく。訪ねるのは、これまでの方法を一変させようと研究にのめり込む企業だ。

(タイトル部のImage:ipopba / Design Cells -stock.adobe.com)