「60%」で飛び込む

 鍵本氏は「バイオベンチャーは水がまだ満たされていないプールに高い所から飛び込むようなところがある。着水するまでに水が満ちているだろうかと不安になるが、周りがやめろというときがちょうどいい。腹を決めて、やる。そこにはタイミングがあり、臨床医として仕事をしてきた肌感覚としても迷いはない」と話す。

 細胞治療の分野はiPS細胞ばかりではなく、事業も自前の製品ばかりでは成功が約束されているわけではない。再生医療の事業化はそれだけ困難を伴うということだろう。ただ、外部の意見は意見として、自らの向かう方向を根拠に基づいて定めていくことこそ重要だ。

 「準備しすぎてしまうのは、戦後の日本の典型的な弱点ではないか。社是の一つでもあるが、『Jump in 60』という考え方で、60%の状況把握で飛び込むのが大切ではないか」と鍵本氏。完全ではない状況把握から見えたゴールを現実にしていけるか、ヘリオスにとっては、これからがまさに正念場となる。

 続いて次回は、細胞医療を支えるインフラとも言うべき技術を事業化しようとする沖縄のベンチャー企業を訪ねる。

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