「持たざる経営」で早期市場進出へ

 泌尿器科の医師、向山秀樹氏は、「再生医療の実証試験が成果を上げれば、その体制を作ることができれば、沖縄発の再生医療を全国に広げられる可能性もある」と説明する。

南部徳洲会病院泌尿器科の向山氏

 装置を小型化し、初期投資も抑えられる設計にしたことで、医療機関での導入がしているのは大きい。大学、製薬企業に加えて、化粧品、毛髪再生、バイオ3Dプリンター用の細胞インク製造を担う企業などでの採用も視野に入る。2019年4月には、北海道大学での脳梗塞後の骨髄幹細胞を使った再生医療のために装置の提供を始めた。フルステムは連携先を広げていく計画だ。

 フルステムでは、自社の特許に基づいて、装置の製造は外部の企業に委託しており、自社では製造を行わない体制にしている。技術を早期に市場に出すためには、あえて自前主義にこだわらず、実績ある外部メーカーの力を生かす選択肢を取るのは一つの手になる。こうした製造設備を持たない経営方針は、「持たざる経営」「ファブレス企業」といわれる。新しい技術の発展が各所で起こるこれからは、フルステムのようなバイオ分野のファブレス企業が注目されてくるかもしれない。

 次回は、細胞の研究から新しい分野を切り開こうとするベンチャーをさらに訪ねていく。

(タイトル部のImage:Sashkin / rost9 -stock.adobe.com)