海外11カ国での展開も始める

 Joinなど提供するサービスの価値が評価され、2014年の発表からわずか5年で、国内35の大学病院が導入するまでになった。海外では11カ国での展開も始まり、欧米のエレクトロニクス領域のジャイアント企業ともいえる、フィリップス、シーメンス、GEのグループとも連携する。それぞれの企業が持つサービスとJoinを連携できるようにしていくのだ。アルムは非上場であり業績の開示は限られるが、増資を重ね資本金を12億8274万円まで増やしており、事業規模を着実に拡大させている。

 アルムはもともと動画配信などの事業をしており、医療分野に本格参入したのが2014年という、いわば「新参者」である。医療機関の脳外科の画像共有システムの開発を手がけたのをきっかけとして、2014年8月に「Join」の提供を開始。2014年11月に旧薬事法の改正でソフトウエア単体が規制対象となり、Joinは同法での医療機器プログラムとして認証を受ける。さらに2016年には保険も適用されることになった。「医療で求められること、ITの導入でかなえられることが一致すると考えられた。それは公的医療保険制度の下、医療費を減らすこと、医療の効果を上げることだ。当社が、業務を効率化したり、救命率を上げたりするためのインフラを提供できると考えることができた」と坂野氏は振り返る。

 医療以外の産業で動画配信のシステムを開発してきた坂野氏にとって、医療現場でのコミュニケーションを支えるシステム開発は難しいものではなかった。「映像関連の処理技術を手がけていたが、動画は静止画像の連続。技術的に進んだことをやっているつもりはゼロだった」と坂野氏。必ずしも先端ではない、いわば“オールドテク”を用いて、医療機能の地域偏在など分断された医療現場を再生させる。そうして、先端技術を凌駕していくかのような様は、まさしくディスラプティブイノベーションだ。