インターネットは今や日常生活の必需品となった。以前は外出して店舗に出向いて買う必要があった商品の多くが、スマートフォンを使えば自宅に居ながら手に入るようになった。体調が悪い人でも歩ければ、医療機関に出向いて受診しなければならない今の受診スタイルも、インターネットの活用で変わろうとしている。近年企業が続々参入している「オンライン診療」だが、一方で医療界では拒否反応の声も聞こえてくる。そうした変化は善か悪か。未来を探るために、オンライン診療サービスを手がける大阪のベンチャー企業を訪ねた。

 長年、医療を受けるには、患者が医療機関の外来を訪れる形が基本となってきた。今、そこに大きな変化が起きようとしている。

 もともと「遠隔医療」として、文字通り離島やへき地といった医療過疎地で、医療機関を受診できない人が受ける形はあった。それが、2015年にその解釈が拡大されて、離島やへき地は一例であると厚生労働省が通知を発出。さらに2018年4月の診療報酬改定により「オンライン診療料」などの項目が設けられ、都市部でも再診患者を基本として遠隔診療が受けられるようになった。

 インターネットはどんな分野でも必需品となっているが、コンピューターのネットワークが医療分野にも急速に浸透してきている。その典型が今様々な企業が参入している「オンライン診療」だ。この新しい受診形態によって医療機関の受診の在り方は大きく変わり、人口が減少し医療機能の偏在が進む地域の医療や、外来では行われにくい医療を「再生」する手立てとして活用しようという動きも出てきている。

 一方で医療界では、従来の受診の形を変えることにより、安全性への懸念や患者がオンラインに流れてしまうのではという不安の声が上がっているほか、医療における営利企業の跋扈への警戒感も広がる。果たして、医療機関の受診スタイルを大きく変えていくのは、善と見るべきか、悪と見るべきか。

 そこで、都市部での遠隔医療を手がける大阪のベンチャー企業、ネクストイノベーションを訪ね、代表取締役の石井健一氏から、事業戦略、オンライン診療を巡る課題や可能性を聞いた。