1回の使用で廃棄するよう設計された単回使用医療機器(single-use device:SUD)を、院内で滅菌して再利用する医療機関が少なくない。SUDの中には高価で構造がしっかりしているものがあり、経営上の理由から再使用したくなる医療機関の気持ちも分かる。そこで、法規制の下でメーカーがSUDを回収し再製造するという新制度が2017年に始動した。米国では「デバイス・ジェネリック」と呼ばれ、日本でも市場拡大が期待される。SUDの再製造を推進する業界団体や関係メーカーを訪ね、その背景と課題、今後の展望を聞いた。

 医療機器の再使用というと、日本では予防接種での注射器使い回しにより児童らに肝炎ウイルスなどの感染を広げてしまった苦い歴史がある。1980年代に入って海外ではその危険性が分かっていたにもかかわらず、国内では周知徹底されなかった。その後、衛生上の問題がクローズアップされ、使い捨ての医療機器が普及した一方、同時に静かに広がっていったのがSUDの再滅菌、再使用の問題だった。

 SUDとして設計された機器であるにもかかわらず、洗浄して滅菌すれば使い回しても問題ないだろうと、医師の裁量権のもとで再使用が繰り返し行われてきたのだ。米国では2000年にSUD再利用が禁止され、厚生労働省も2004年以来、再三にわたって再利用してはならない旨の通知を発出。罰則規定がなかったことなどから、それでも状況は変わらず、2015年に神戸大学病院で神経生理電極(EP)カーテルの不正な再使用、2017年には大阪市立大学病院での骨に使われるドリルの不正な再利用などの事例が報道されている。

再製造SUDに関する「洗浄・滅菌ガイドライン」(写真:飯塚寛之、以下同)

 そうした経緯から、ようやく法的な規制が入ることになった。2017年、厚労省は薬機法の施行規則を改正し、体制が整った下での「再製造」を制度化。許可を受けた事業者が、オリジナル品とは別に再製造品の製造販売承認を受ける形などを決めた。2019年には「洗浄・滅菌ガイドライン」が整備され、今後本格的に再製造品が市場に出てくる素地が固まってきた。