がんの種類に合ったトレーニングを提案

 現在、キャンサーフィットネスでは参加者が自分の運動機能に合わせて選べるよう、様々なプログラムを用意している。術後間もない人を対象にしたプログラムでは、まず自分の身体をさすり、どこに痛みがあるか、どの程度まで動かせるのかを確認するところから始める。一般にストレッチといえばグッと伸ばすような動きを想起するが、ここではインストラクターが身体にかかる負荷を抑えながら、少しずつ凝り固まっているところを緩めて伸ばしていくような動きを指導するという。

 プログラムの中には椅子に座ったままでできる運動もある。40代の乳がんサバイバーの女性はご家族の支えで立つのがやっとという状態で、キャンサーフィットネスを訪れた。闘病中にすっかり筋肉が落ち、日常生活を送るのも難儀な状態を改善したいと、座ったままの運動に挑戦してみたところ、みるみる表情が明るくなり、その日のうちに自分で一歩を踏み出せるようになった。 

 「がんで失われた機能を回復するためのリハビリは、入院中ならば受診できるが、退院後は対応がまちまち。医療機関が支援しなければ、がんサバイバーは行き場がなくなってしまうので、そのための受け皿になれればと思っている。キャンサーフィットネスのインストラクターは全員ががんサバイバー。身体を動かすことの意味は身をもって知っている」 

キャンサーフィットネスの運動教室の様子。写真は術後初めての体操教室。現在はオンライン配信で行っている(写真提供:キャンサーフィットネス)
キャンサーフィットネスの運動教室の様子。写真は術後初めての体操教室。現在はオンライン配信で行っている(写真提供:キャンサーフィットネス)
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 各種プログラムの中でも特に注目度が高いのがチアダンスだ。がん関連の学会や地域イベント、チアダンスの学生大会などに招待されて披露することもあり、そのショーの様子を見てキャンサーフィットネスに入る人もいるという。

 「ピンクの衣装を着て、濃いメイクをして、元気に足を上げて、踊って、その全員ががんサバイバー。これってすごいことだと思う。ショーを見た方から『これから抗がん剤治療だが、チアに入りたいから頑張ってくる』、『私もこんな風に踊れるようになりたい』などと涙ながらに言われると、やっている意味があると感じる」

さまざまなイベントに出場するチアダンスチーム。学生のUSA全国大会にゲストとして出演したこともある(写真提供:キャンサーフィットネス)
さまざまなイベントに出場するチアダンスチーム。学生のUSA全国大会にゲストとして出演したこともある(写真提供:キャンサーフィットネス)
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