杖を使うのに年齢は関係ない。しかし、いざとなると「年寄り臭い」「そこまで衰えていない」と抵抗感を抱く人は少なくないようだ。杖・ステッキ専門店「素敵屋Alook(すてっきや・あるく)」を営む小倉惠美子氏の母親もまた、杖を敬遠する一人だった。しかし、小倉氏が取り寄せた海外製ステッキは華やかで美しく、外出をためらっていた母親の心を動かした。

福祉・介護用の杖ではなく、素敵に歩くためのステッキへ──いま市場は変化の時を迎えている。

 素敵屋Alookの看板商品「Glass Rose(グラスローズ)」は透明のステッキ内部に造花やリボン、ビーズなどの装飾品を詰め込んだ華やかなステッキだ。

日本初のスケルトンステッキ「Glass Rose®(グラスローズ)」。可愛らしい見た目に反して強度は高く、SG基準も満たしている(写真:早川 マナ、以下同)

 外筒はポリカーボネート樹脂製。粘り気のある素材ゆえに体重をかけるとしなるが、これまでの15年間で折れたものは1本もない、強さが魅力だ。中身はアクリル樹脂など軽量な素材の棒に装飾品を巻き付けている。ステッキ先端のゴム部分を外すと中身を交換することができ、普段使いのもののほかにフォーマル用としてダークカラーを購入する人もいる。また、ハンドル部分も透明なアクリル製で、先端にはスワロフスキーを埋め込んである。

 ユーザーは圧倒的に女性が多く、年代は幅広い。

 「普通の杖を使っていた30代の女性はかつて娘さんに『授業参観に来ないで』と言われていた。おそらく杖を突く母親を友達に見られたくなかったのだろう。しかし、グラスローズを持つようになってから、参観日に行くと娘さんが喜ぶのだそうだ。お客さまからそんな手紙をいただくと、ステッキ屋冥利に尽きると感じる」

素敵屋Alook 代表 小倉惠美子氏