がん治療が進化し、日常生活を送りながら治す病になったからこそ

 今後、福祉理美容のニーズがますます高まりそうなのが、がん患者の身だしなみ・外見のサポート(アピアランスサポート)だ。がんは不治の病から治る病へと変化しつつあり、通院治療だけというケースも増えてきた。しかし、抗がん剤による副作用は依然として悩ましい問題で、頭髪・眉毛・まつげが抜ける、肌荒れする、爪が変形・変色するといったことが起こり得る。

 ふくりび事務局長の岩岡ひとみ氏は「がん治療が進化して日常生活を送りながら治す病になったからこそ、アピアランスに対する多様なニーズが出てきたのでは」と指摘する。

 「はじめはみなさん、副作用の説明を聞いてパニックになる。自分がどうなるか、ウィッグは必要か、どこで買うのかなど、わからないことだらけ。我々が展開する『アピアランスサポートセンター(あぴサポ)』は美容室のような入りやすい雰囲気。まずは気軽に相談に来てほしい」(岩岡氏)

ふくりび事務局長の岩岡ひとみ氏は「ウィッグを使うことをポジティブに受け止め、『普段できないヘアスタイルや髪型に挑戦したい』という方が増えてきた」と感じているという

 ふくりびでは人毛ウィッグにこだわって提供する。治療中は肌が過敏になるケースも多く、人工毛だと刺激が強くてトラブルのもとになる。人毛は人工毛よりも高価で数十万円のものもあるが、ふくりびでは自社工場を設けて中間流通を省くなどコストカットを徹底することで、6万円の価格を実現した。

 ウィッグ使用が決まったら、まず抗がん剤治療の開始前に地毛を短くカットする。地毛が長いままだと抜けたときのインパクトが大きいし、髪がもつれやすくて苦労するそうだ。ウィッグは本人の希望にもよるが、地毛に近い色や長さを選択することが多い。「がんだと分かると余計な心配をかけるので、周囲に治療中だと知られたくない、というニーズが多い」(岩岡氏)のだという。

 一般に抗がん剤投与が始まって数週間後から脱毛が始まる。普段はウィッグをシャンプーなどで手入れし、定期的に美容室に持って行って整えてもらう。長さを変えたり、カラーリングしたり、おしゃれを楽しむこともできる。また、来店時には、少なくなった眉毛やまつげをカバーするメイクや肌荒れのケア、爪の変色を目立たなくするネイルケアなどについて相談に乗ることもある。

 抗がん剤投与が終了して3カ月から半年ほどで発毛が始まり、生えそろえば地毛のスタイルに移行できる。そのときも自然に移行できるように、ウィッグを徐々にショートカットにしていく人が多いという。

 「ウィッグ着用期間中にお子さんの入学式などのイベントが重なることがある。家族の記念写真をきれいに残したい気持ちは当然のこと。ふくりびの医療用ウィッグはアレンジしやすいのが特徴。普段使っているウィッグをアレンジしてアップスタイルにできるし、後れ毛も出せるので仕上がりが自然」(赤木氏)