食品メーカーからの引き合いが急増

 メタボロームの応用先として医薬、食糧、環境、エネルギーを挙げたが、「特に引き合いが増えているのが食品会社」(菅野氏)である。食品会社が期待することは、食事による病気の予防や、食品ブランド価値の数値化だという。

 病気予防の観点で言えば、「医食同源」と言われるように、健康と食は密接な関係にある。健康状態に影響を及ぼす要因として挙げられるのが、食事、運動、睡眠、ストレスの4要素。遺伝的な疾病リスク要因があったとしても、これらの生活習慣を変えることで、病気の発症リスクを低減することができる。

 しかしこうした生活習慣の変化に伴う健康状態については、「インデックス的なものがない」(菅野氏)のが現状。健康状態を何らかの方法で数値化すれば、食品会社としては「特定の食材による健康状態の改善」を示すことができるというわけだ。

 食品会社が注目する、もう1つのブランド価値については、「美味しさ」「品質」を数値化しようという取り組みである。

 一例が、鶴岡市が位置する山形県庄内地方の名産品「だだちゃ豆」の保存と輸送に関する取り組みである。IABとJA鶴岡との共同研究では、鶴岡から東京まで輸送して販売することを想定、保存温度と保存時間をパラメータとして、「甘み」「旨味」「香り」に関する味の評価とメタボローム解析による成分変化の分析を実施した。両者の取り組みでは、皮の硬さに影響を及ぼす可能性のある代謝物が、保存条件によって大きく変化することが分かったという1)