現況打開の方策の一つは海外展開

現況を打開する有効な方策はあるのでしょうか。

 一つが海外展開でしょう。グローバルな医薬品の需要を見ると「米国」が断トツで、続いて「欧州」、最後に「その他の地域」となっています。その他の地域では日本が大きく、さらに今は環境整備が進む中国の市場ポテンシャルが高まっていると言えるでしょう。

 武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共などの国内大手企業は既に欧米に販売網を広げています。そのため、次のステップは中国やアジアをどうするかという点が焦点となるでしょう。協和キリン、塩野義製薬、田辺三菱製薬などの準大手は欧米市場にトライしているところで、結果を出せるかどうかが問われます。

 とはいえ、海外市場の変化も大きい中、シェアを伸ばしていくのは容易ではありません。

米国では今秋、大統領選挙が予定されています。ヘルスケアは大統領選の度に争点になるテーマですが、医薬品業界に影響はありますか?

 ヘルスケアは国民の関心が高いため、毎回争点になるのでしょう。民主党候補が勝てばオバマケアの拡大やメディケア・フォー・オール(国民皆保険)を目指すことが想定されますが、立法化には下院、上院での審議を通さねばならず実現可能性という観点では不透明感があります。結果的にうまくいかず、短期では業界に大きな変化はないと考えます。

 しかし、今のように薬価を引き上げるという戦略が今後5~10年維持できるかというと疑問です。長期的には現在よりも薬価を引き上げられなくなる可能性が高いと見ており、そうなると、製薬企業は米国における戦略を見直さなければなりません。

中長期的に医薬品市場の成長エンジンとなり得るのは何でしょうか?

 製薬企業であれば、やはり、“創薬力”でしょう。以前と比べ、付加価値の高い薬品を生み続けることが容易ではなくなっているのは確かです。

 とはいえ今世紀に入ってからも、低分子薬から抗体薬、遺伝子治療へと、新薬の可能性はサイエンスの発展と共に広がってきました。生命科学の分野には解明されていない点も多く、そこに創薬のチャンスがあります。