日本企業の創薬力、その実力は…

日本企業の創薬力は、海外企業と比べてどうですか?

 単純比較は難しいのですが、FDA(米食品医薬品局)で承認された薬剤の数を見ると圧倒的に海外企業の方が多くなっています。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した再生医療など領域によっては日本の企業にチャンスがあると思いますが、全体としては、欧米企業が主導権を握っているのが現状です。

 日米で差が大きいのは、創薬のエコシステム。例えば、米国では企業が自分たちのリソースとは別にアカデミア(研究・教育機関)と協業したり、ベンチャー企業と提携したりと“オープンイノベーション”を活用する体制が数十年前から確立されています。また、潤沢なベンチャー・キャピタルの資金により新たなベンチャー企業が生まれ、それを製薬企業が買収するというサイクルもできています。

 加えて、製薬企業でキャリアを積んだ人がベンチャーでチャレンジするといった「ヒトの流動性」も高い点が米国の強みと言えます。私は前職でベンチャー支援の仕事をしていましたが、こうしたサイクルが日本だとなかなかうまく回らないのを実感しました。

 こうした中で注目されるのが、2018年、武田薬品工業が産官学連携を目指して開所した湘南ヘルスイノベーションパーク(略称・湘南アイパーク)です。これは、武田薬品工業の施設やネットワークを外部に開放し、バイオベンチャー育成などにも役立てることを目的として設立され、同社の創薬だけでなく、日本の創薬を盛り上げるという意味でも非常に意義深い取り組みだと思います(関連記事:タケダの敷地に出現した「湘南アイパーク」とは何か?)。