業績がよくても、必ずしも株価には反映されない

個人投資家は、投資対象としての医薬品セクターをどのように見たらいいでしょうか?

 特許ビジネスである製薬業においては、足元の業績が良好な会社でも、大型薬剤の特許が切れれば業績が著しく悪化する可能性があるため、中長期的な業績見通しが重要なセクターと考えたほうがよいでしょう。

 そのため、投資に際しては、他のセクターと違い、足元の業績よりも新薬のパイプライン(新薬候補)が注視されるのが特徴の1つです。業績が低迷していても、大型化が期待できる開発品において、良好な臨床試験結果が発表されれば、将来の利益成長期待から株価は上昇しやすくなります。

 逆に、業績がよくても、必ずしも株価には反映されないこともあります。例えば、アステラス製薬や塩野義製薬は足元の業績が好調であるにもかかわらず、株価は伸び悩んでいます。両社とも2020年代後半に大型薬剤の特許切れを控えていて、まだ次の稼ぎ手が見えてこないことが理由です。これに対し、第一三共は、承認されれば数千億円規模の売り上げが予想されるがん新薬への期待などで、株価が上昇してきました。

 医薬品セクターの株価は短期的にはパイプラインに関連するニュース・フローで上下しますが、長期的な視点からは、やはり創薬力が鍵を握ることになるでしょう。創薬力という点で市場の評価が高いのが、抗体医薬品に強みを持つ中外製薬です。自社創生した新薬ヘムライブによる業績拡大と、次々と抗体医薬品を生み出す技術力の高さが評価され、この数年、株価は右肩上がりで推移しています。

(タイトル部のImage:jamesteohart -stock.adobe.com)