コロナ禍で機能性化粧品にも課題

「リンクルショット メディカルセラム」は新規顧客の開拓やクロスセルにも寄与したと聞いています。業績や株価インパクトはどうだったのでしょうか。また、シワ改善化粧品以降、こうした機能性化粧品の市場が活性化したということはありますか?

 「リンクルショット メディカルセラム」は2017年1~12月で約130億円を売り上げ、これを受けて2017年の年初に2400円台だったポーラ・オルビスHDの株価は、2018年5月に5410円の高値を付けています。同社では2020年1月には顔全体に伸ばすタイプの美容液「リンクルショット ジオセラム」を発売するなどシリーズのアイテムを増やし、2021年1月には別の美肌成分も付加した「新リンクルショット メディカルセラム」を、価格を据え置いて売り出しました。発売6日で約4万個を売り上げるなどリニューアル版も出足は順調です。しかし、2017~18年頃の勢いはありません。機能性化粧品市場は旺盛なインバウンド需要に支えられた面もあり、コロナ禍で状況が大きく変わっています。

コロナ禍で在宅時間が増えたことやマスクの着用により、女性があまりメイクをしなくなったという話をよく聞きます。口紅などのメイクアップ化粧品は打撃を受けていそうですが、スキンケア化粧品はどうなのでしょうか?

  国内の化粧品の出荷額は、2020年10月が前年同月比マイナス10.2%、11月が同10.9%と大幅な縮小傾向が続いています。しかし分野別に見ると、10~11月のメイクアップ化粧品は依然として前年同月比で4割近いマイナスに沈んだままなのに対し、スキンケア化粧品はほぼ前年並みまで回復してきています。

 これは機能性化粧品にとっても悪いことではないのですが、コロナ禍ではむしろ「敏感肌」「安全・安心」を謳った値頃感のあるスキンケア化粧品が売り上げを伸ばしています。加えて、化粧水・乳液・美容液・クリームなどの役割を一つで果たす「オールインワン化粧品」も市場を拡大しています。

 背景には、外出自粛で化粧品販売のオンラインシフトが急速に進んだことが挙げられます。SNSをやりながら気軽に買い物ができるといった利便性からオンラインのチャネルが選好されているのです。これにより、店舗を持たないスモールブランドが急速に存在感を高めています。高価格帯が多い機能性化粧品にとっては、美容医療の低価格化も痛手です。安価でソリューションが得られてしまうわけですから、「高い化粧品を使わなくても医療で治せる」という選択肢が生まれます。

事業の見直しが進められている資生堂(写真:つのだよしお/アフロ)
事業の見直しが進められている資生堂(写真:つのだよしお/アフロ)
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なるほど。オンラインシフトは、アフター・コロナの業界動向を占う上でも大きな鍵になりそうですね。化粧品大手のeコマースへの対応はどうなっているのでしょうか? また、この分野で強みを持つ企業はどこですか?

 資生堂やコーセーの日本売上高全体に占めるオンライン販売比率は5~7%程度と推定されます。大手各社は今、こぞってデジタルの強化に取り組んでいます。一方でオンラインに強みを持つのが、準大手のファンケルや新日本製薬です。ファンケルはオンライン通販に軸足を置いていますし、新日本製薬も通販のオールインワン化粧品が好調です。