株式市場で期待が高いヘルスケア企業はどこか? 今年4月に再編が行われた東京証券取引所(東証)の新市場区分に沿って、これまで「プライム市場」と「グロース市場」の注目企業を見てきた(関連記事:「知られざる日本のヘルスケア『プライム企業』」、「新興ヘルスケア市場、これが注目の『グロース企業』」。今回は残る3つ目の「スタンダード市場」だ。東証では同市場を、一定の時価総額と基本的なガバナンス水準を備えた上で、「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」と定義している。スタンダード市場の実力派ヘルスケア企業について、前回、前々回記事に続き、株式アナリストの和島英樹氏に注目5社を挙げてもらった。

6万件の歯科医院を納品先とする「歯愛メディカル」

和島 英樹氏 株式アナリスト/マーケットジャーナリスト
和島 英樹氏 株式アナリスト/マーケットジャーナリスト
わじま・ひでき 現みずほ証券、株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。2020年6月に独立。企業トップへの取材は1000社以上。近著に「1万円から始める勝ち組銘柄投資」(かんき出版)。レギュラー出演番組にラジオNIKKEI「マーケット・プレス」、東京MXテレビ「東京マーケットワイド」、日経CNBC「攻めのIR」など。日本テクニカルアナリスト協会評議委員(写真:本人提供)
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 東京証券取引所のスタンダード市場は、プライム市場、グロース市場に挟まれる格好で、正直、地味な存在だ。プライム市場は流通時価総額が大きくて、社外取締役などガバナンス(企業統治)が一定水準以上の企業群。一方、グロース市場は旧マザーズ市場と、ジャスダック市場のグロース銘柄が基本で、成長力の高い企業の集まりと言える。

 その点、スタンダード市場は旧東証2部企業、ジャスダック市場のスタンダード企業に、プライムを選択しなかった旧1部企業の集合体となっている。ヘルスケア関連では、市販薬国内最大手メーカーの大正製薬(証券コード:4581)などが上場されているものの、ビッグファーマ(巨大製薬企業)もなければ、創薬関連のバイオベンチャーも存在しない。一般的に目立たない企業が多い。

 ただ、目を凝らせば、今後成長ステージに進みそうな企業も少なくない。そんな、ぴかっと光る実力派ヘルスケア企業をピックアップした。

 まず注目されるのが、歯愛メディカル(3540)。歯に関するヘルスケア関連の代表的な企業で、歯科製品の開発から製造、販売までを手掛けている。2000年に歯科関連の製品を扱う商社として設立した。モットーは「先生とその患者さんに喜ばれたい」。全国およそ6万件の歯科医院に納品され、歯科業界での歯ブラシ販売本数、歯科通信販売売上高でトップシェアを誇る。

 歯科医院向けに、ドクターコートなどのメディカルウェア、雑貨、歯科技工所向けの口腔内スキャナー、技工機器、石膏関連などを幅広く手掛けている。一般個人向けには歯科医院で取り扱っている歯ブラシのほか、デンタルフロス、フッ素・予防関連などを通信販売している。

 一方、歯科医院・歯科技工士を対象とした歯科用CAD/CAM(コンピュータによる設計・製造)センターの「3Dデザイン・ラボ」も展開している。歯科技術におけるCAD/CAMとは口腔内に装着するクラウン(歯冠)やインレー(詰め物)などを設計、作成する技術のこと。従来はほとんど全てを手作業で行ってきた工程だが、CADやCAMを活用することで、効率化が進み、仕上がり具合のバラツキも防げるようになった。同社では産業用から転用した大規模CAMマシンを導入し、材料のジルコニアからチタン、コバルトクロムまで高精度な対応が可能としている。