食品や調剤に大きな成長余地

DS業界は21世紀に入ってからの20年で、店舗数が約2倍、売上高が約3倍と大きく拡大しています。現状をどうご覧になっていますか?

 2000年代は業態確立後の高成長期、2010年から2015年まで成長のスピードはいったん鈍化しましたが、2015年以降加速しています。そのエンジンとなったのは積極的な新規出店ですが、他にも調剤や食品に手を広げたこと、さらに2019年までは旺盛なインバウンド需要もありました。

2019年時点では2030年のDS市場を8兆4000億円と予想されていましたが、コロナ禍を経た今、この数字はどう変わりますか?

 コロナの影響で売り上げが減ったのは免税品や化粧品、逆に増えているのは食品と調剤です。これらを比較すると、プラスの方が明らかに大きい。食品と調剤は現状、市場規模に対するチャネルシェアがあまり高くありません。食品で4~5%、調剤で10%といったところで、まだまだ成長余力があります。結果として、コロナがあっても数年後の市場規模は8兆円を超えてくるのではないでしょうか。

食品と調剤への取り組みについて、もう少し詳しく聞かせてください。

 食品販売に積極的なのは、先ほど好調組と言ったコスモス薬品やクスリのアオキHDなどです。コスモスでは、他業態、同業者よりも明らかな低価格で必需品の食品や家庭用品を販売したり、アオキでは生鮮食品の取り扱いが始まっています。食品スーパーやディスカウントストアにとっては脅威でしょう。

 ウエルシアHDやスギHDは原則として全店舗に調剤薬局を併設しています。主として調剤を担う日本の調剤薬局には個人経営が多く、今後、事業承継の問題に直面しそうです。また、既存の調剤薬局はほとんどが門前薬局ですが、薬価協定では、特定病院への集中度が高い薬局への保険点数引き下げ、かかりつけ薬剤師への点数引き上げが、継続的に実施されています。さらに2020年の調剤報酬改定でも診療所の敷地内薬局の調剤基本料が大きく引き下げられており、顧客にとっての利便性などからも今後調剤は「薬局からDSへ」の流れが進むと見ています。

 コロナ禍で医療機関の受診を控える動きが広まり、調剤薬局が業績を悪化させたのに対し、DSの調剤部門は電話診療で処方箋が発行されるコロナの特別措置の利用者をうまく取り込み、流れを加速させています。