画期的なイノベーションなしに市場は拡大しない

医薬品が成長するためには何が必要なのでしょうか?

 技術革新、これに尽きるでしょう。

 いまの医薬品業界は構造的には「使用量が増えて価格は下がる」という状況にあり、画期的なイノベーションなしには市場を拡大するのが難しくなっています。

 価格の安い古い薬でも十分な治療成果が上げられる病気が増え、長く使っている薬のほうが安全性も確認されていることから、20年ほど前と比べて創薬のハードルは格段に上がってしまいました。とはいえ、もちろん開発が期待される新薬はあります。

 最たるものが、遺伝子治療薬です。遺伝子治療薬は遺伝子を体に入れて病気を治すタイプのクスリで、既に一部で製造販売が行われていますが、現在、米国と中国で多くの企業が莫大な投資を行っており、その技術革新のペースが凄まじく早いのです。臨床試験に入っているものを見ると、長期の安全性確保や有効性の持続、生産の難しさなど課題は多いのですが、このペースで開発が進んでいけば、近い将来には遺伝子治療薬で多様な疾患が克服できるようになるかもしれません。

 遺伝子治療薬は従来型の治療薬と比べて投与頻度が非常に少ないのが特徴です。ですから、先進国はもちろん、医療に頻繁にアクセスできない地域でも治療体系を大きく変えるポテンシャルを秘めており、大いに注目されます。