タカラバイオやモダリスなど、有望技術を持つ日本企業も

今まで挙げてくださった創薬トレンドにおいて、有望な技術を持つ日本企業があればお教えください。

 「遺伝子改変細胞を用いたがんの治療薬」の分野で注目されるのがタカラバイオです。同社は滑膜肉腫を対象とするTCR-T細胞療法(患者の免疫細胞に、がんの目印を認識する遺伝子・T細胞受容体を導入した免疫療法薬)で大塚製薬と日本国内での共同開発・独占販売契約を結んでおり、年内に国内での承認申請を行う予定です。

 「ゲノム編集の応用技術による治療薬の開発」の分野にも、有望な技術を持つ企業があります。2016年創業で、2020年8月に東証マザーズに上場したモダリスです。ゲノム編集は遺伝子を書き換えるために遺伝子を切断しますが、それに伴い、がん化のリスクや、狙った遺伝子以外の遺伝子を切断するリスクなどが報告されています。モダリスの遺伝子制御治療薬はゲノム編集の技術を基にしながら、目的遺伝子のオンとオフを制御することによって治療を行う「切らないゲノム編集」です。先天性筋ジストロフィータイプ1A(MDC1A)を対象にした開発品で、年内のライセンス締結を目指して欧米のビッグファーマを含む数社と交渉中です。

 核酸医薬やmRNA医薬開発の分野で、日本を代表する存在がナノキャリアです。乳がん患者の約50%に過剰発現する転写因子PRDM14を標的とするsiRNAを用いた開発品で、再発乳がんを対象に臨床試験を行っています。また、創薬支援のアクセリードと共同で新会社プライムルナを設立し、膝の軟骨を再生させるmRNA医薬品(変形性関節症治療薬)の開発に取り組んでいます。

 残念ながらAI創薬の分野での有力企業は見当たらないのですが、そーせいグループがAIや機械学習(ML)を活用した創薬のプラットフォームを持つ米インベニAIと研究開発提携をスタートさせています。