日本企業の強みとは?

国産ロボットは米国勢に対抗していけますか。

 ヒノトリの強みは、そのまま国産ロボットの強みにつながると思います。例えば、多関節ロボットの技術。ヒトノリは実際の人間の腕よりも関節数が多く、それが繊細な動作を可能にしています。日本の企業には、伝統的にこうしたものづくりのDNAがあります。ひと言で言い表すなら「モビリティの高さ」でしょうか。

日本能率協会総合研究所のレポートでは、国内の手術支援ロボットの市場は2024年には270億円に上ると予測されています。今から10年後の2030年、手術支援ロボットのマーケットはどうなっていると思われますか。

 腹腔部の手術は、開腹・開胸手術から腹腔鏡手術へ、腹腔鏡手術からロボット手術へと進化してきました。要はスイッチング(置き換え)ですから、ロボット手術がどんなに頑張って普及しても市場としては全体の手術件数を超える事はできません。特に日本はこれから後期高齢者(75歳以上の人口)の割合が高まり、手術を避けて薬物治療を選択するケースが増えていくと見られます。

 一方でダヴィンチを使った手術件数は、米国で2ケタ成長を続けています。2000年代を牽引した前立腺や子宮の手術に代わって、2010年代後半からは一般外科手術が新しい成長ドライバーとなりました。これに対し、日本では診療報酬の問題からスイッチングは泌尿器科の中にとどまっています。現在の導入状況を見ても国内のポテンシャルは低くなく、今から10年後の2030年には、日本が今の米国と同じような状況になっているかもしれません。

個人投資家は、この分野への投資をどう考えたらいいでしょうか。

 株式市場において、手術支援ロボットへの投資はアーリーフェーズにあります。現状、この分野への関心は高いものの、業績貢献としての期待はまだあまり高くありません。今年、オンライン診療に投資家の過剰な期待が向けられたのとは対照的です。

 ヒノトリの認可が発表された際も、親会社の川崎重工業やシスメックスの株価はほとんど反応しませんでした。しかし、ヒノトリの普及による利益は親会社に落ちる仕組みになっており、今後普及が進むにつれて2社の株価を動かす要因になっていくのではないかと思います。

 2020年末にはメディカロイドの投資家やアナリスト向けの説明会が予定されています。具体的な経営目標や数値が示され市場から好感されれば、目先はそこでシスメックスなど親会社の株価が反応する可能性もあります。

(タイトル部のImage:jamesteohart -stock.adobe.com)