自宅に居るような“くつろぎ”を提供

 きめ細かな医療的サービスに加え、自宅に居るような雰囲気の中で過ごせるのもホスピス住宅の特徴だ。賃貸住宅という位置付けなので、家族はいつでも自由に訪ねてくることができる。

 「自宅療養は家族への負担が大きく、家族が看護で疲れてしまうケースが多い。一方、病院や施設だと、面会する時間が限られ、家族の居場所もない。ホスピス住宅では、家族が自分のペースで通うことが可能です。それぞれの居室にはリビングコーナーがあり、ソファベッドも備えているので泊まり込むこともできる。患者さんが家族と一緒に最期の時間をどう過ごすか、自分で決めることができます。安心できる医療サービスと、自宅に居るようなくつろぎの両立が質の高い療養生活には必要だと思います」(高橋氏)

 1棟あたりの居室数は20から30室。きめ細かなサービスを実現するため、建物の規模は大きくない。食堂を中心にして各階に部屋が配置されている住宅もあり、そこでは食事時には、6室ほどの住人がひとつのテーブルを囲むような設計になっている。

(左)団欒できるよう共用スペースには大きな無垢材の食卓を設けている。(右)専属の調理師が一人ひとりに合った食事を作る(出所:日本ホスピスホールディングス)

 「各自の部屋にいても食卓の賑わいが聞こえてくる。まさに『おうち』にいるような雰囲気ですね。プライバシーは尊重するけれど、それぞれが孤立しているわけではなく、生活の音が部屋に届く。自分がコミュニティの一員であると感じられることも、患者さんにとっては大切なことだと思います」(高橋氏)