子宮内フローラの改善は可能か

 では、子宮内フローラを改善させることはできるのか。不妊治療クリニックとの共同研究では、ラクトフェリンの摂取が子宮内フローラを改善させることがわかった。実際に体外受精後の妊娠が成功した例もあったという。「ラクトフェリンは母乳、特に出産後2~3日に分泌される初乳に多く含まれる抗菌・抗ウイルス作用などを持つ多機能性たんぱく質。涙や唾液、子宮頸管液などにも含まれており、子宮内フローラのバランスを整える効果がある。膣・子宮の菌は腸管由来ということが分かってきたので、経口摂取したラクトフェリンは腸内フローラを改善し、結果として、膣・子宮の菌環境を改善すると考えられる」と桜庭氏。

 バリノスでは、ラクトフェリンのサプリメントも販売中だ。「ラクトフェリン摂取については、細菌性腟症の改善効果と早産予防効果が論文ですでに報告されていた。そのエビデンスに基づいてサプリメントをデザインした」と長井氏。

 子宮内フローラをよい状態に保つには、もちろん食事も大切だ。日頃から腸の状態をよくしておくことも、膣と子宮のフローラケアにつながる可能性がある。妊娠出産を希望する女性は、早めに子宮内フローラを意識した生活を始めるといいだろう。「妊活には子宮内フローラのケアを」が、これからの常識になるかもしれない。

バリノスが販売する「子宮内フローラのためのラクトフェリン」。妊活サプリとして医療機関やアマゾンなどで販売。90錠、8100円(写真:稲垣 純也)

 子宮内フローラ検査には、海外からも熱い視線が注がれている。「検査希望のオファーなど、海外からの問い合わせも多い。近いうちに海外進出も果たしたい」と桜庭氏。最近発行された米国の雑誌『Startup City Magazine』では、アジア太平洋地域のバイオテック・スタートアップ企業のトップ10に選出され、桜庭氏と長井氏の写真が表紙を飾った。日本発の子宮内フローラ検査への期待は大きい。

 「今後は、受精卵の染色体異常を調べる『着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)』にも本格的に取り組んでいく。正常な受精卵を見分けて移植することで、確実に妊娠率を上げ、流産を防ぐことができる。また将来的には、がんのゲノム検査にも乗り出したい」と桜庭氏は熱く語る。バリノスの挑戦は始まったばかりだ。

(タイトル部のImage:ekb -stock.adobe.com)