ヘルスケアと「脳科学」は今後、どんどん密接になっていく。「脳を鍛える大人のDSトレーニング」でも広く知られる脳科学研究の第一人者、東北大学の川島隆太氏は、同大学と日立ハイテクノロジーズが共同で設立したベンチャー企業NeU(ニュー)でCTOを務めるビジネスパーソンでもある。同氏が考える、2020年代の「ヘルスケアイシュー」とは――。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BP 総合研究所)

東北大学の川島氏(写真:向田 幸二)

 加齢医学研究所の所長を務める私にとって、2020年代のイシューは「長寿化」です。

 当研究所の特色の一つは、認知刺激あるいは認知トレーニングと呼ばれる手法です。認知的な刺激をすることで脳の機能を維持・向上させる技術についてナンバーワンを自負しています。さらに、アルツハイマー病を分子生物学のレベルで予防できないかについても取り組んでいます。脳内の微小な炎症に注目し、どう抑え込むかという研究になります。これら一連の研究で世界を先導しようと考えています。

 日本で年々深刻化している認知症は、寿命が短い国にはありません。衛生医療が発展し長寿化した先進国で問題になっている新しいテーマです。欧州ではイタリア、ドイツが日本に続いて長寿化を迎えていますし、アジアでは中国も超高齢社会に足を踏み入れつつあります。2020年代に世界中で長寿化が大問題となることは明白です。