若者と未来への予算がひたすら削られている

 あるべき姿の視点(B型的なアプローチ)からも考えてみましょう。これについては「2025年、2030年の日本のヘルスケアシステムとして、そもそもどういう状態があるべき状態なのか」は恐らくもっと本質的な課題で、これ自体がよく分からないまま個別の案件ばかり議論していることが大いなる問題であると思われます。というのは、なんとなく「A型的な今が回らないのをどうしよう?」的な課題解決論ばかりになっているように見えるからです。このあるべきシステムを検討し、整理することは相当緊急度が高い案件であると思われます。

このような状態を念頭に置いた上でみると、日本の最大の課題は何でしょうか。

 日本という「系」全体となると、当然1つではありません。

 そもそもどういう勝ち筋であるべきなのか、本当に霞が関でよく聞くようなものづくりの復活みたいなことなのか、大企業が腕まくりをすれば勝てるのか、というレベルで大きく間違っているので、それをいかに是正するかというのが1つ目。

 次にその本来あるべき勝ち筋の実現のために必要な人がどういう人たちなのか、という創るべき人物像がそもそもこれまで目指してきた像とはかなりかけ離れているので、これをどう是正するか、というのが2つ目。

 この必要になる人の育て方が今までとは全く違う形で育てないと育たない。それをどう実現するか、というのが3つ目。

 以上の実現のためにどのようにリソース配分を見直さなければならないのか、それをどう実現するかというのが4つ目です。さらにどのような社会を目指していくべきかという大きな課題もありますが、一旦脇に置きたいと思います。

安宅氏が考える2020年代のイシューの1つは「リソース再配分」(図:Beyond Healthが作成)

 4つ目のリソース配分課題については、我々の恩人であり国家功労者であるシニア層および過去に国家のリソースの大半が投下されているにもかかわらず増大が止められず、結果、若者と未来への予算がひたすら削られていっていること、が最大の問題です。

 2016年予算を例に取ると、国家の一般会計は100兆円規模ですが、社会保障関連費用が3分の1(約32兆円)、4分の1(約24兆円)が過去の社会保障給付費と言うべき国債の支払い、地方交付金が15兆円ほどあり、これら以外は26兆円(約4分の1)しか残らない状況にあります。ここから教育費用も科学技術的な研究予算も出ていますが、毎年約1兆円ずつ増える社会保障費の増大に圧迫され、ひたすら削られる流れにあります。