医療費にも「松竹梅」の視点で差をつけること

 この新しい富を持つ人達の名誉を守り、彼らに過度の負担を生み出すことなく、どのように還流させるかの技と仕組みが必要です。その最もシンプルで効果があることが分かっているのが、寄付をしやすくすることです。株、土地、仮想通貨などの現金以外の資産で持っているものを納税する必要なく寄付することができる仕組みが重要です。例えば、米国では伝統ある名門大学の収入を支えている最大の要因は投資運用益で、原資は個人や法人からの寄付とその運用益から生まれた巨大な基金です。これを生み出し得るための税的な配慮と促す仕組みが必要だということです。

 3つ目に、コストはもちろんのこと、あらゆることの前提を疑ってみることも大切です。ヘルスケアでいえば、バリアフリーの環境はけがを予防し、高齢者に適しているとされます。しかし、実際はバリアフリーな道は認知症を引き起こしやすくなるという話を、米国を代表するメディカルスクールの足の専門医からお聞きしたことがあります。低コストのソリューションはこのように相当量存在するはずです。

 それに比べると小さな努力ですが、調達の見直しも徹底的にして、例えば10万円以上の購買には全て相見積もりを義務付けるようにする。こうしたことを規律化するだけで、コスト意識に対する効果が生まれます。

 4つ目の視点としては、医療費にも「松竹梅」の視点で差をつけることです。医療は、高度なスキルを持った人によるプロフェッショナルな仕事です。こうした仕事は、弁護士でもコンサルタントでも、経験やスキルにより報酬に100倍近く差があることが普通です。しかしながら、医療は誰が診ても一律で同じ点数です。

 なので高度医療、高度な診断能力が必要のない状況でも、高コストな人や設備を抱える大学病院や大病院に人が殺到して見えない価値が消え去っている上、国家的には不必要にコストが発生しがちです。公的医療保険は「治る」という最低限、梅レベル、を手厚く保障する。それ以外は、航空運賃のファーストクラスとエコノミークラスのように差を付けて、それに見合った報酬にするとともに、この梅部分以外の経費は基本自己負担化すべきです。