ビッグデータやリアルワールドデータを活用した社会変革を様々な分野で実践してきたのが、慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏。いち早く「データは21世紀の石油」と定義し、さらに「石油と異なり、多くの人が使うことで枯渇するのではなく、多くの価値を生み出す」と提唱してきた。宮田氏に、データによりヘルスケアの分野が、どのように変革していくかを聞いた。

(聞き手は荒川 直樹=ライター)

慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏(写真:的野 弘路)

 2020年代は文明の大転換点にあるといわれていますね。Society 5.0 であり、第4次産業革命です。世界経済フォーラム(WEF)を主宰してきたクラウス・シュワブは、第4次産業革命について「ここから10年で起こる変化というのは、これまでのIT革命の本番である。これまでが助走にすぎない。それぐらい大きな変化が起こっていくだろう。これに乗れなかった国家、コミュニティ、会社というのは未来がない」ということを唱えてきた。これは結構強い脅しですが、ただあながち嘘ではない。

 それは日本の企業が成長戦略を検証するときに肝に銘じておくべき言葉といえるでしょう。例えば、これまで日本は技術で国を築いてきたとあってAI(人工知能)に大きな投資をしています。しかし、ディープラーニング(深層学習)など技術だけでイノベーションを起こそうというフェーズはすでに終わりました。GAFAのトップチームと話していても、AIを使って環境そのものをどうリ・デザインしていくか、使い方の議論に移行してきているのです。

宮田氏が考える2020年代のイシューは「リ・デザイン」(図:Beyond Healthが作成)