人材大国インド、医療従事者も日本の2~4倍

 サンバンダム氏は、「インドといえば、カレーと情報技術というイメージを持たれるが、重要なのは人材大国であること」と強調する。グーグルやマイクロソフトのトップがインド人であるように世界的な企業でインド人の経営者が活躍しているが、そうした経営層にとどまらず、世界に目を向けるとインドは巨大な人材供給国だ。国際移民機関のデータによると、2019年世界の移民の出身国としてインドはトップの1750万人。2位メキシコの1180万人と比べて約1.5倍、3位中国の1070万人の約1.6倍にもなる。

 そうした中で、あまり知られていないのが、ヘルスケア人口も大きいという事実。経済産業省の2018年のデータによると、インドの医師数は107万人に上る。2016年末の時点で日本の医師数は約30万人なので3倍以上も存在することになる。なお、インドで医師となるには、医師免許に当たるMBBSを取得し、医師として登録されている。その他の医療従事者も、それぞれ専門職種の評議会があり、規定の教育を受けた上でそれぞれの評議会に登録されることになっている。

 医師以外の医療従事者数もインドは日本の2~4倍に上る。薬剤師は97万人、歯科医師は29万人。看護師に至っては299万人。日本では、薬剤師は約23万人、歯科医師は10万人、看護師と准看護師が合計で約155万人となる。

NAVIS代表のラジクマール・サンバンダム氏(写真:飯塚 寛之)

 サンバンダム氏はもともと医療人材を日本に紹介する事業に可能性を感じていたという。「日本にいると、いつも自分が一番若かった。しかし、インドに戻ると自分の年齢が一番上。日本は高齢社会になっていたが、インドはすごく若くてダイナミック。日本へとインドの若い医療人材を連れてくれば、介護の人材不足を補えると考えていた」と振り返る。

 インドの人口の半分は25歳以下だ。その人口は約6億人。日本の人口を上回る若い人材がインドには存在する。医療人材も年々増える。サンバンダム氏は、「インドは宗教的に笑顔を大切にし、家族を大切にする。大家族で、若い人が年寄りの世話をするのは当たり前だ。インドの人材は能力の高い人も多く、ヘルスケアの分野でも将来性はある」と指摘する。

 前述の通り2017年の制度変更でインドから日本への介護人材の技術実習が可能となった。「インドも初、介護も初」と、サンバンダム氏は動き出す。考えたのは、インドの看護師を日本の介護人材として紹介することだった。「介護でもしっかりしたクオリティーにしたいと考え、事業のルールとして看護師を紹介することにした。学校を卒業し、インドの医療現場で経験をした人に日本語の研修を実施。その上で、日本の施設に紹介する形を考えた」と説明する。