看護師の技術で介護の課題を解決

 サンバンダム氏は単純に看護師を紹介して提供先の介護サービスの向上につなげるばかりではなく、提供する看護師側の技術の向上も視野に入れている。「日本は高齢化社会にいち早く突入しており、いわば最先端」(同氏)。インドにはない課題があり、先進国の施設でインドでは得られない技術やノウハウを身につけられるところを重視しているのだ。

NAVIS統括責任者の大木氏(写真:飯塚 寛之)

 NAVISではインドにおいて紹介前の看護師に対して、日本語の研修をしながら、介護の基本的な動作や現場でのやさしい言葉遣いを実践的に教える。「前提として、看護師だから技能も分かるところは大きい。日本の高齢者に違和感なく対応できる」と統括責任者の大木氏も話す。その上で、現場ならではの学びを得てもらう考え。

 異文化になじむという意味では、インドの人々にとってなじみのある英語圏で活動した方がハードルは低いものの、日本においてであっても新しい言語への拒否感は決して強くはないという。サンバンダム氏は、「インドのお札には16の言語が書かれている。左から右に読む言葉もあれば、右から左に読む言葉もある。インドの人々はだいたい4つほどの言葉を覚える。DNAとして、短い時間で言葉を覚えられるようになっている。日本語とは文法も近い。介護は人とコミュニケーションしながらできるので、言葉も覚えられる。他の外国人と比べても言葉の覚えが早い」と説明する。NAVISではインド人の実習生に日本語の上級N3レベルまで取得してもらっているが、通常1年半かかるところ、インドの実習生の場合は5カ月で済み、習得の速さが顕著だという。

 サンバンダム氏は、インドで医療機関経営に乗り出していた日本のセコムグループにアプローチし、介護人材の紹介を申し出た。サンバンダム氏は、日本の情報技術企業への人材紹介の実績も多く、日本語も堪能。日本企業との交渉に難儀しない。2019年3月に初めて、インド人の看護師を介護人材として日本に紹介するに至った。2020年1月までに20人を紹介。千葉県、愛知県、大阪府、埼玉県、北海道、福井県と紹介先を増やしている。COVID-19の影響はあるが、さらに46人の紹介を目指し、日本語の研修を進めており、さらなる拡大を目指す。

日本の介護現場で実習するインド人看護師(写真:NAVIS)