日本外科学会も

 日本外科学会も手術支援ロボットを用いた遠隔手術の推進に動き出している。遠隔手術の実用化に向け学会では、ダヴィンチを通信回線で結んで行う実証研究に臨む計画だが、そこでは将来的には5Gあるいは6Gの活用を見据えているという。

 実証研究では、北海道大学、弘前大学、九州大学、鹿児島大学の4大学で遠隔手術の安全性を担保する通信状況などを検証していく考え。弘前大学大学院医学研究科 消化器外科学講座 教授の袴田健一氏によると、実証研究の通信回線については現時点では光ファイバーによる通信を主体に考えているというが、「大容量、低遅延通信という点で5Gは魅力的。ネットワークの整備状況などが課題だが、期待を持っている」(同氏)と話す。

 なお、日本外科学会が遠隔手術の推進に動き出したのは、外科医不足、それに伴う地域医療崩壊の危機に対応するため。学会の働きかけにより、2019年7月に改訂された厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では遠隔手術が項目の一つに加えられた。

 学会が考えている遠隔手術は、大きく2パターン。1つは、患者がいる地方の病院のロボットアームを、遠隔地のコンソールで高度技能専門医が遠隔操作で手術を行うというもの。地域の医師は緊急時の対応などに専従する。

手術支援ロボットによるデュアルコンソール方式の実際(出所:弘前大学 袴田健一氏、以下同)
手術支援ロボットによるデュアルコンソール方式の実際(出所:弘前大学 袴田健一氏、以下同)
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 もう1つは、地域の病院に1台のコンソールを置き地域の医師が低~中難度の執刀を担当。遠隔地のコンソールで高度技能専門医が操作権を移行しながら手術を行うというもの。これにより、地方の患者も高度な手術が受けられるようになり、質の高い医療の均てん化が図られるとしている。


(タイトル部のImage:Beyond Health)