Beyond Healthは、「健康で幸福な人生100年時代を可能にする」社会の実現に向けたビジョン「空間×ヘルスケア 2030」を掲げ、具現化するためのプロジェクト「ビジョナリー・フラッグ・プロジェクト(VFP)」を立ち上げた(関連記事:目指すは「空間×ヘルスケア」の社会実装)。

その一つとして描いた未来の薬局「Beyond Pharmacy」では、薬局は2030年、「未病の改善を推し進める社会の“ハブ”」としての役割を担う姿を描いた。病気と診断される前の未病状態の人を適切にケアする、特定の疾患を患っていない人の健康を守る…。もちろんハブになるには、地域社会に必要とされ、かつ信頼される存在であることが欠かせない。

広島市内などで16店舗を展開するすずらん薬局は、これまで様々な工夫を重ね、より多くの生活者に対峙できるよう進化を遂げてきた。その結果、行政からも頼られる存在となっている。

 ここにすずらん薬局グループがまとめた一冊の本がある。「栄養士が考えたおすすめ一品料理」と題した料理レシピ集で、2016年12月の発刊だ。

 すずらん薬局の1号店がオープンしたのは1991年6月。スタート時は広島市内繁華街のビルの4階にあり、同じビル内で開業する内科診療所と耳鼻科診療の処方箋を主に受けていた。特定の医療機関の処方箋に対応する、いわゆるマンツーマン型薬局のスタイルだ。ただ、だからといって、店舗内は単に“医師が処方した薬を患者に渡す場所”にとどまらなかった。当初から、薬局で管理栄養士や栄養士の有資格者を採用し、患者サービスの一環として、無料で栄養相談に当たらせていたのだ。

 今でこそ地域住民の健康サポートなどを目的に栄養士を採用して栄養相談に取り組む薬局は増えつつあるが、30年前はほぼ皆無に近かったといっていい。さらに同店では、栄養相談に加え、薬剤師と栄養士がタッグを組んで、健康教室も開催していた。毎回テーマを決め、例えば高血圧であれば、薬剤師は疾患と薬について、栄養士は食生活のポイントについて話す。これも当時はかなり先進的な取り組みである。

 1996年からは、健康情報冊子「すずらん食通信」を毎月発行。今に至るまで続いている。創刊20周年を記念して、その食通信に掲載してきたレシピをまとめたのが、冒頭紹介した料理集だ。

「すずらん食通信」と、20年にわたって掲載してきたレシピをまとめた料理集(資料提供:すずらん薬局)