循環器疾患リスクが高いほど断熱改修による恩恵が大きく

 研究グループは、断熱改修と居住者の血圧についての影響を検証した。その結果得られたのは、「断熱改修により最高血圧と最低血圧は有意に低下する」という知見だ。

 ベースラインの血圧や、年齢、外気温、BMI(肥満度を表す体格指数)などの変化量を元に多変量解析(複数の測定値を総合的に分析する手法)を行い、断熱改修後の居住者の血圧変化を試算。断熱改修前の平均値と比較した。結果、断熱改修後は最高血圧、最適血圧共に低下傾向を示した。

 研究グループが分析した変化量は、朝の最高血圧で-3.1mmHg、夜の最高血圧は-1.8mmHg。朝の最低血圧は-2.1mmHg、夜の最低血圧が-1.5mmHgと、特に朝の血圧が有意に低下している(下図)。

居住者の血圧を断熱改修前後で比較。多変量解析によって算出したモデル値では、居住者の血圧が断熱改修後に有意に低下した。特に朝の血圧には顕著な変化が見られた(出所:日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第5回報告会」資料、以下同)
居住者の血圧を断熱改修前後で比較。多変量解析によって算出したモデル値では、居住者の血圧が断熱改修後に有意に低下した。特に朝の血圧には顕著な変化が見られた(出所:日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第5回報告会」資料、以下同)
[画像のクリックで別ページへ]

 朝の血圧変化は、年齢や性別、喫煙や飲酒の有無など、居住者の属性別まで踏み込んで分析した。すると、「循環器疾患リスクが高い被験者ほど、断熱改修による恩恵が大きい」ことがわかった(下図)。

居住者の朝の最高血圧を属性別に集計して分析したところ、断熱改修後は循環器疾患のハイリスク者ほど血圧が低下するといった結果があらわれた
居住者の朝の最高血圧を属性別に集計して分析したところ、断熱改修後は循環器疾患のハイリスク者ほど血圧が低下するといった結果があらわれた
[画像のクリックで別ページへ]