Beyond Healthは、「健康で幸福な人生100年時代を可能にする」社会の実現に向けたビジョン「空間×ヘルスケア 2030」を提案し、それを具現化するためのプロジェクト「ビジョナリー・フラッグ・プロジェクト(VFP)」を進めている(関連記事:目指すは「空間×ヘルスケア」の社会実装)。その注目テーマの一つが、未来のワークプレース「Beyond Workplace」だ。

「社員がオフィスに集まって働くのは当たり前」──こうした神話がぐらぐらと揺れている。主に健康経営に向いていたヘルスアケア部門の関心は今、オフィスが担うべき将来の役割に向けても移動中だ。働く場の分散が急ピッチで進む中、オフィスはいったいどこに向かおうとしているのか、元コクヨ「ワークスタイル研究所」所長で、自身の個人事業で企業のコンサルティングを行っている若原強氏に、オフィスの未来と2030年のワークプレースについて聞いた。

若原強氏 トレジャーデータ エバンジェリスト/consulting & more 代表
わかはら・つよし 東京大学工学部、同大学院工学系研究科修了後、SIer、戦略コンサルティングファーム、広告代理店、コクヨを経て、2019年トレジャーデータ入社。ビッグデータ活用のエバンジェリスト業務に従事。コクヨ在籍中はワークスタイル研究所所長を務め、「働く床ポートフォリオ」論を提唱するなど、新時代のオフィス像の発信・啓発に努めた。2017年に設立したconsulting & moreの代表として、企業に対するコンサルティング活動も行うパラレルワーカー。これからの働き方・暮らし方のトレンドに明るく、自身も2021年より、東京、静岡のデュアルライフ(二拠点生活)を始めている(写真:川田 雅宏)

コロナ禍による在宅勤務の普及で、余ったオフィススペースを解約する企業が増える等、オフィスの縮小傾向が進んでいます。こうした傾向は今後も続くと見ていますか?

 コロナ禍により私たちの働き方は大きく変化し、その最たる例がリモートワークの拡大です。その結果、「オフィスに集まらなくても、仕事は成り立つ」という意識の変化が生まれました。「社員全員が出社する必要がないなら、オフィスはもっと小さくてよい」。固定費を抑えたい企業の経営者がこう思うのは当然のことで、当面の間、オフィスの縮小傾向は続くのだと思います。

 とはいえ、2030年に向け、縮小が続くかというと話は別です。一時は「不要論」もあったオフィスに対し、社員のコミュニケーションやセレンディピティ(予想外の発見)の場としての役割を見直す機運も出ています。オフィスは「要・不要」の二元論で語るのではなく、どのくらいの比率で出社し、どのようなワークプレースを組み合わせるのが適切であるかを考えるべきで、企業は「働く床(ゆか)のポートフォリオ」を探るフェーズに移行しつつあります。