多様な空間を一元的に選べるプラットフォーム

 2021年2月22日から、三菱地所のおひざ元と言える大手町・丸の内・有楽町(大丸有)地区でプレローンチを開始。専用アプリの動作を確認する一方、3月いっぱいまでは同地区にあるカフェやコワーキングスペースなど提携施設10カ所(写真1)で利用者ニーズを検証する。那須井氏は「プレローンチ開始から1週間、営業日5日間でアプリ登録者は約500人。一定のニーズは見込める」と期待を寄せる。

写真1●提携施設の例。写真左は大手町ビル1階カフェ・レストラン「KAITEKI CAFE」。右は、東京交通会館6階コワーキングスペース「GOODOFFICE 有楽町」(写真提供:三菱地所)
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写真1●提携施設の例。写真左は大手町ビル1階カフェ・レストラン「KAITEKI CAFE」。右は、東京交通会館6階コワーキングスペース「GOODOFFICE 有楽町」(写真提供:三菱地所)
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写真1●提携施設の例。写真左は大手町ビル1階カフェ・レストラン「KAITEKI CAFE」。右は、東京交通会館6階コワーキングスペース「GOODOFFICE 有楽町」(写真提供:三菱地所)

 利用者のターゲットは、約28万人と言われる大丸有地区のオフィス就業者とビジネスで同地区を訪れる来街者だ。「当社では、地区内のワーカー向けにエリア情報やクーポン機能を提供する『update! MARUNOUCHI for workers』という会員制のWebサイトを運営している。会員規模は数万人。そこを通して『NINJA SPACE』を紹介している」(那須井氏)。

 ビジネスのカギを握るのは、提携施設の数やバリエーション。そこが貧弱では、マッチングは成立せず、結果として利用者の伸びは滞る。しかし、そこにも一定のニーズは確実に見込める、と那須井氏は見る。

 背景にあるのは、ワークスタイルの多様化だ。働き方改革の旗印の下、働く場所の多様化が加速する中、デベロッパーがサテライトオフィスの開発・運営に取り組むだけでなく、例えばカラオケボックスのような異業種もワークスペースの提供に乗り出し始めた。

 三菱地所自身、オフィスを供給する立場上、ワークスタイルの多様化に無縁でいられない。オフィス領域でも住宅領域でもそれを念頭に置いた開発に取り組み、例えば個室型ワークブース「テレキューブ」のサービス提供事業者に資本参加する。

 そこに、新型コロナウイルス感染症の影響がじわりと加わり、飲食店やホテルは売り上げ確保に向け、ワーカーの取り込みを狙う。那須井氏は「新事業開発のタネとしてテレワークに着目する中、これらの多様なスペースを一元的に選べるプラットフォームを構築しようという結論に行き着いた」と、新サービス開発の経緯を明かす。

 多様なスペースを一元的に選べるプラットフォームは、なぜ必要なのか。「例えば飲食店からすると、そこをワークスペースとして使おうとする顧客を受け入れたくても、顧客側は遠慮して大手カフェチェーンなどに流れがち。また、地階や2階に立地する飲食店は、路面店に比べそもそも選ばれにくい。プラットフォーム上ではそうしたフロアによる差をなくすこともできる」(那須井氏)。