子どもをターゲットにしたワケ

 残薬問題の解消を啓発するためのツールが、お薬手帳としても使える「やくいくてちょう」。薬の飲み忘れを防ぐために、服用後に「チャージゲージ」に色を塗ったりシールでチェックしたりする欄を設け、きっちり飲み切ったら、病気をばらまく「ヤバイ仮面」をやっつけられるという仕様だ。子どもが楽しめるよう工夫を凝らしている。

 オーガマンもやくいくてちょうも、子ども向けなのだが、そこに大賀社長の狙いがある。

 「薬の飲み忘れが多いのは圧倒的に高齢者。そんなおじいちゃんやおばあちゃんにとって最強のインフルエンサーともいえる孫から、『お薬飲んで健康で長生きしてね』『お薬忘れないでね』と声をかけられれば、悪い気はせず、素直に言うことを聞いて、飲み忘れは確実に減っていくはず」と考えた。

 大賀社長が大事にしているのは、手帳の名にもある「薬育」。薬に関して正しい知識や使用方法などを教育していくことだが、その薬育を子どもから高齢者に波及させることにしたわけだ。

 加えて、医療財政にも目を向けている。「43兆円にも上る医療費の削減は、日本における最大の課題。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)では、『すべての人に健康と福祉を』とうたっているが、幼少のころから、医療財政に少しでも興味・関心を持ってもらうようにすることが大事で、オーガマンがそのきっかけづくりになれば」と、大賀社長は語る。

 いまやオーガマンは引っ張りだこだ。もともとオーガマン誕生時は、福岡県内の幼稚園や保育所を回って、「やくいくショー」を行う計画を立てていた。ショーが15分、握手会と記念撮影が15分、合計30分くらいの内容だ。そうして薬育の普及とともに、大賀薬局のファンづくりも進めていく。

 順調な出だしを切ったものの、新型コロナウイルス感染症の影響で、昨春からは幼稚園や保育園回りができなくなった。

 ところが、である。その裏であるプロジェクトが始動。福岡で活動するヒーローたちが活躍する特撮ドラマ「DOGENGERS(ドゲンジャーズ)」が作られることになり、オーガマンの参戦が決まったのだ。ドラマは昨年4月から3カ月にわたって、九州朝日放送で日曜午前10時から放映。また、ニコニコ動画でのディレイ配信が行われたこともあり、大人も含め、全国の特撮ファンから大いに支持を集めた。

 実は、今月からはドゲンジャーズ2期目の作品がスタート。九州朝日放送に加え、TOKYO MX、熊本朝日放送、鹿児島放送でも放映される。

 オーガマンは現在まで幼稚園や保育所回りは再開できないままだが、特撮ドラマで人気を不動のものしたことで、商業施設などでのショーを頻繁に頼まれるようになった。テーマはもちろん薬育だ。毎週末はほぼどこかの会場に呼ばれているという。

 「オーガマンに会えた子どもたちはみんな目を輝かせ、手紙やプレゼントを持ってきてくれることもしばしば」と大賀社長。「こうしたやり取りは、社員のやる気にもつながっている」と明かす。

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ショーを終えると、毎回ファンから手紙やプレゼントが。「薬飲んで、寝ろ」はオーガマンのきめ台詞
ショーを終えると、毎回ファンから手紙やプレゼントが。「薬飲んで、寝ろ」はオーガマンのきめ台詞
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