空室率10%超えの見方もあるが

気になるのが、オフィスビルの空室動向です。コロナ禍によるテレワークの拡大などで、オフィス面積を減らす企業が増えていると聞きます。2021年2月の都心5区の空室率は、供給過剰の目安とされる5%を超えました。大村さんは今後の空室率はどう推移していくと考えていますか?

 企業によるオフィス面積の縮小などで、近い将来オフィスビルの空室率が10%を超えるという見方もありますが、私はそうは思いません。

 空室率は供給と需要という2つのファクターがあります。新しいオフィスビルが稼働したり、テナントが退去して空きが出たりするのを、需要でどれくらい戻せるかという話です。コロナショック前の2018年から2019年にかけては、旺盛な需要が供給を上回り、都心5区の空室率は低位で推移していました。一方、2020年末のデータを見ると空室率は4.49%で、供給要因が前年比+2.61%ポイント、退去等による需要要因は+0.33%ポイントとなっています。つまり、都心5区の空室率を押し上げた要因は、需要の問題よりも、新規オフィスの大量供給によるインパクトが大きく、仮にコロナ問題がなくても、ある程度上昇していたのではないでしょうか。

 さらに、2020年は4~5月に緊急事態宣言が発出されたこともあり、ブローカーによるテナント候補への営業ができづらかったという側面もあります。結果的に大量供給を埋め戻すに至らず、空室率の上昇につながったわけです。

 当社では、2021年末の都心5区の空室率を6.16%(供給要因+0.72%ポイント、需要要因+0.96%ポイント)と予想しています。空室率はここから一気に2ケタ台に向かうのではなく、上昇ピッチは鈍化していくのではないでしょうか。