時間や場所にとらわれない自律的な働き方を目指す

 改革に当たり富士通が推奨しているのが、場所や時間にとらわれない自律的な働き方だ。「ハブオフィス」「サテライトオフィス」「ホーム&シェアードオフィス」という3タイプのワークスペイスを目的に応じて自ら使い分け、効率良く、快適に働いてもらうことを目指している。

 そうした働き方は、社員にとっても会社にとっても好ましい、と平松氏は見る。

 「何より生産性を上げられる。しかも、自らの成長に向けた学習の時間やリフレッシュの時間、さらには家族との時間を確保しやすくなるなど、ウエルビーイングの向上にもつながる」(平松氏、以下「」内は全て平松氏)

 場所や時間という視点から働き方を見直そうという取り組みは、既に5年前の2016年から手を付けてきた。

 第一弾は、サテライトオフィスの展開。狙いは、効率性や機動力の向上だ。「営業担当やシステムエンジニアが出先で仕事を終えてから、拠点に戻らずに済むように、残務を処理する場としてサテライトオフィスを社内外に置き始めた」

 2017年には、テレワークの導入に乗り出した。目標としたのが、社員の半数がテレワークを利用し、週1回、在宅勤務を行うようになること。「そこまでいけば、残る社員も遠慮せずにテレワークを利用し、在宅勤務を選択するようになるのでは、と期待を寄せていた」

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 ところが期待に反し、在宅勤務の利用は思うように伸びなかった。

 「社員には、オフィスでないと仕事はできないという思いが強かった。一方で私たち担当部門も、それが現実で、在宅勤務を全員に広めるのは無理との思い込みがあった。結果として、育児や介護を抱える社員が利用する補完的な勤務形態という位置付けにとどまっていた」

 そこに転機が訪れる。言うまでもない、新型コロナウイルスの感染拡大だ。2020年4月、政府が7都府県を対象に緊急事態宣言を発出すると、富士通は勤務形態を原則、在宅勤務に移行させた。このいまだかつてない経験が、2つの気付きをもたらす。

 一つは、場所や時間にとらわれない働き方が決して不可能ではないということだ。「当初は多少混乱があったが、最終的には全社員が在宅勤務に移行できた。テレワークは不可能でないと改めて気付かされた」