飲食店の集客に効果あり、売上も倍増

 本事業では「飲食店の内装を木質化した場合、どのような効果が現れるのか」について検証した事例がいくつかあった。

 不動産開発やホテル運営を主な事業とする7garden(東京都中央区)の実証事例もそのひとつだ。同社が運営するホテル1階のカフェの内装を実際に木質化し、その効果を調べた。

 カフェの空間をおよそ半分に区切り、一方の壁には尾鷲産のヒノキ材を貼って木質化。もう一方はコンクリートに塗装を施した従来の内装のままとした。

7gardenが実証を行った自社施設の内装。カフェの空間をおよそ半分に区切り、一方の壁はヒノキ材による木質化、もう一方はコンクリートに塗装を施した従来の内装のままとしている(出所:日本住宅・木材技術センター「内装木質化等の効果実証事業 成果報告会」資料、以下同)
7gardenが実証を行った自社施設の内装。カフェの空間をおよそ半分に区切り、一方の壁はヒノキ材による木質化、もう一方はコンクリートに塗装を施した従来の内装のままとしている(出所:日本住宅・木材技術センター「内装木質化等の効果実証事業 成果報告会」資料、以下同)
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 木質化エリアと、非木質化エリアを区分したカフェ空間内において、利用客の着席率や支払い意欲、五感に与える影響などを、アンケートやPOS(販売時点情報管理)データなどから分析して比較している。

 まず、POSシステムのデータを分析した結果、入店した利用客は好んで木質化エリアに着席した。木質化エリアの着席率は、非木質化エリアの約2倍になった。客単価や滞在時間については差が見られなかったものの、着席率の差がそのまま売上の差に現れている(下図)。

POSシステムのデータを分析して、木質化席と非木質化席の着席率および売上を比較した。木質化席は非木質化席の約2倍の着席率となっている
POSシステムのデータを分析して、木質化席と非木質化席の着席率および売上を比較した。木質化席は非木質化席の約2倍の着席率となっている
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 156件の来客者アンケートも分析した。その結果から見えてきたもののうち、特に興味深いのは、「来客者は木質化された店内を見たことが入店の動機となっている」という点だ。約7割の来客者が木を使った内装に引き付けられ入店した。

 7garden事業開発部長の平川喬氏は「木質内装には潜在的に人を引き付ける魅力があり、集客に寄与する可能性が高い」と分析している。

 飲食店を対象にした事例はほかにもある。一般社団法人大阪府木材連合会(大阪市住之江区)が実施した事例も飲食店の内装を木質化して、その影響を調べたものだ。この事例では、大阪市内にある小規模レストランの内装を木質化リフォームして、訪問客や従業員へのアンケート、および心拍計による調査を実施した。

 同会特別顧問の京都大学 川井秀一名誉教授は、心拍計による調査結果から「従業員については木質化以後、心地よさを感じている可能性がある」と解説する。さらに経営者へのヒアリングからは「木質化以後の来客リピート率は約1割増加した」との見解を得ている。