写真やVRでも木質化の効果が顕著

 実店舗ではなく写真やコンピューターグラフィックス(CG)を用いて、内装木質化の影響を検証した事例もある。東京大学大学院農学生命科学研究科による実証事例では、飲食店舗の内装の写真を対象者に見せて、その印象と評価を調査した。20代から60代の男女計400名を対象に、インターネットでのアンケート調査を実施。木材率(内装に木材を使用している割合)を段階的に変えたカフェの内装写真30枚を掲示して、その印象と支払い、入店意欲などを調べた。

 調査の結果、木材率が高い写真ほど、店舗の印象、入店意欲ともに向上する傾向が見られた。実証実験を主導した東京大学大学院農学生命科学研究科の前田啓助教は「特に少人数での入店意欲向上に効果が大きい」と報告している。

 この事例では他にも、カフェに滞在して心拍や時間感覚、内装の印象などを評価するといった検証も行った。滞在の対象としたカフェは木質と非木質の実店舗のほか、仮想現実(VR)空間のカフェも対象とした。VRによるカフェは、木材率や使用木材の色を変えたものを5種類用意して、ヘッドマウントディスプレイを装着した状態で架空の滞在体験をした。

東京大学大学院農学生命科学研究科によるVRカフェ空間の画像。木材率や使用木材の色を変えたものを複数用意して検証した
東京大学大学院農学生命科学研究科によるVRカフェ空間の画像。木材率や使用木材の色を変えたものを複数用意して検証した
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 調査の結果、木質内装のカフェにおいては若干、時間経過が速く感じる傾向が見られたが、明確な結論を得るには至らなかった。木材の色の違いについては、暗色の木材を使用した内装の場合、「高級感がある」との印象が強くなり、支払い意欲の向上に寄与する可能性が示唆されている。脈拍などを元に評価したリラックス効果については、実店舗、VRのどちらでも目立った効果は得られなかった。

 今回の報告会で発表された事例のうち、飲食店における影響を検証した事例は3件あった。いずれもリラックス効果など来訪者の心身面への影響について可能性は示唆されているものの、定量的な評価は得られていない。飲食店における木質化の効果として目立ったのは主観的なイメージ向上と、それに伴う入店意欲や支払い意欲など経済面での影響だった。