免疫力の向上や心理的な鎮静効果も確認

 森林再生システム(東京都千代田区)と、公益財団法人森林・自然環境技術教育研究センター(東京都千代田区)による共同事例では、森林・自然環境技術教育研究センターのオフィスにある事務机15基を木質化し、平均年齢60歳代となる高齢の就労者6人の心身への影響を調べた。

内装木質化したオフィスの様子。左の写真が木質化前。右が木質化後(出所:森林・自然環境技術教育研究センター)
内装木質化したオフィスの様子。左の写真が木質化前。右が木質化後(出所:森林・自然環境技術教育研究センター)
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 木質化前に1回、木質化後に3回の唾液検査と、心理アンケートを実施して、内装木質化の効果を検証した。唾液検査では、コルチゾール濃度、クロモグラニンA濃度、分泌型グロブリンA濃度をそれぞれ確認した。コルチゾールとクロモグラニンAは、濃度が高いほど被験者がストレスを感じていることを示す。分泌型グロブリンAは起床時が最も高く、それ以降は徐々に減少する日内変動を持つ。濃度が高く保たれているほど、免疫力を発揮する。

 それぞれの木質化前後の数値を比較した場合、木質化後にはストレスの緩和、免疫力の向上および心理的な鎮静効果が確認された(図2)。

図2●コルチゾール濃度、クロモグラニンA濃度、分泌型グロブリンA濃度それぞれの平均値を、木質化前後で比較したグラフ。コルチゾール濃度、クロモグラニンA濃度は木質化後、上昇が抑制されている。分泌型グロブリンAについては木質化後に減少幅がより小さく変化している(出所:森林・自然環境技術教育研究センター)
図2●コルチゾール濃度、クロモグラニンA濃度、分泌型グロブリンA濃度それぞれの平均値を、木質化前後で比較したグラフ。コルチゾール濃度、クロモグラニンA濃度は木質化後、上昇が抑制されている。分泌型グロブリンAについては木質化後に減少幅がより小さく変化している(出所:森林・自然環境技術教育研究センター)
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 この結果に対し、森林・自然環境技術教育研究センター事務局長の上河潔氏は、「今後より多くの被験者による継続調査が必要である」と強調した上で、「内装の木質化は高齢の就労者が心身ともに健康で快適に働ける空間となりうる」と説明する。

 ほかにも、長谷萬(東京都江東区)の事例では、木ダボを使って板材を積層した木質部材(DLT)を用いて、自社ビルのショールームと会議室を木質化。通常オフィスとDLT空間を比較してリラックス効果の有無を検証した。心拍センサーによる心拍変動の評価と、ヒアリング調査を行ったが、今回の実証では内装木質化によるリラックス効果は確認できなかった。