コミュニケーションやヒーリングの場にも

高橋 「Beyond Pharmacy(未来の薬局)」について、我々は「薬に関する相談や受け渡しの場」という役割を大きく超えた存在として位置付けています。健康に関するデータ収集やコミュニケーションの場であり、ヒーリングの場となっていく。薬局が魅力的な場となれば、薬局を起点に個人の健康管理意識や行動も変わり、未病の改善に重要な役割を果たす場となっていくはずです。厚生労働省が定める「健康サポート薬局」の役割を拡張した内容といえるでしょう。

小谷 「Beyond Home(未来の住宅)」「Beyond Office(未来のオフィス)」といった、あらゆる空間をつなぐ結節点の役割を「Beyond Pharmacy(未来の薬局)」が担っていきます。いわば、「空間×ヘルスケア 2030」のインテリジェント・ハブという位置付けです。

 「Beyond Pharmacy(未来の薬局)」のイラストに沿って、「未来の薬局」の機能を説明していきたいと思います。まず図の右上ですが、ここが従来の薬局の調剤スペースです。ここでの薬のピッキング作業は、AIやロボット技術によってほぼ自動化されていくと想定しています。

Beyond Pharmacy(未来の薬局)。2030年、薬局は調剤だけでなく、ヒーリングやコミュニケーションの場となり、「空間×ヘルスケア」を実装した街のハブとしての役割を担う(イラスト:kucci)

 図の左上、大き目な一角を占めるコミュニケーション・スペースは、薬剤師が薬を処方して渡すだけでなく、健康全般の相談に乗るというイメージです。左下のスペースでは、スクリーニング(ある病気にかかっているかを選別する)機器を設置して、がん、心疾患、認知症などあらゆる病気を超早期に発見するサービスなどを提供したり、空気、照明、香り、音響などをそれぞれの人に最適化したヒーリングの場を提供している様子を描いています。

 右下のテレビ会議をしている部屋は、医療との連携をイメージしたものです。スクリーニングなどにより集積された個人の健康データを基に、薬剤師が健康についてアドバイスしたり、あるいは、医師と遠隔で連絡を取りあったりする。そんなイメージです。

高橋 薬局の入り口では、ウイルスや花粉、PM2.5などの小さな粒子を除去するという想定です。2030年には、新型コロナウイルス感染症の脅威は既に克服されているはずです。そのとき、人々の生活の多くは元に戻っているでしょう。ただし、感染症のパンデミック対策は、生活の中に組み込まれた形で発展していく。我々はそう見ています。