Beyond Healthは、「健康で幸福な人生100年時代を可能にする」社会の実現に向けたビジョン「空間×ヘルスケア 2030」を提案し、それを具現化するためのプロジェクト「ビジョナリー・フラッグ・プロジェクト(VFP)」を進めている(関連記事:目指すは「空間×ヘルスケア」の社会実装)。その注目テーマの一つが、未来のワークプレイス「Beyond Workplace」だ。

コロナ禍によるリモートワークの拡大で、一時は「不要論」も飛び出したオフィス。しかし最近ではオフィスの価値を見直す動きもあり、リモートとオフィスの“使い分け”が課題となっている。ニューノーマルに向けたワークプレイス戦略を進める上で、両者をどう選択し、使い分けるが適切なのだろう。人事・採用コンサルティングなどを手掛ける人材研究所の代表・曽和利光氏に話を聞いた。

曽和利光氏 人材研究所 代表取締役社長
1995年に京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートに入社し人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)など著書多数(写真:刑部 友康、以下同)

コロナ禍でリモートワークが一気に広がりましたが、オフィスの役割を見直す機運も出ています。曽和さんは、リモートとオフィスの使い分けについてどうお考えですか。

 約1年前の初めての緊急事態宣言下では、どの企業も急な対応に追われました。大企業を中心にリモートワークを一気に拡大させ、出社人数を大幅に制限しました。当時の状況では、企業側の意思に関係なく、未知のウイルスに対して急ぎ「対処」するしかなかったのです。それに対しこれからは、「リモートとオフィス、両者をどう使い分けるか?」を考えることが重要な時期になるとみています。

 使い分けの大切さを知る上で注目されるのが、2021年4月入社の新入社員の存在です。1年前の2020年入社組も、入社してすぐ緊急事態宣言が出され、いきなりリモートワークを余儀なくされましたが、実は就活ではコロナの影響を受けていません。そのため、内定者同士がリアルなコミュニケーションを取る機会があり、入社前にある程度関係性ができていたため、入社後のリモートワーク下でも助け合い、励まし合うなど一体感を保つことができていました。

 しかし2021年入社組は、就活開始時からコロナの影響を全面的に受けていて、ほぼリモートですべての就活をすませた世代です。オンラインでの会社説明会、オンライン面接などを経て、横のつながりを感じることがないまま入社しているので、「同期意識が極めて薄く、一体感を持ってもらうのが難しい」と悩む企業が増えており、早期離職の問題も顕在化しています。

 「オンラインでも情報は伝えられるけれど、感情までは伝えづらい」という課題は以前からありましたが、今春入社の新人においては、「仕事のやり方は教えられるが、会社への愛着を持ってもらうのが難しい」「スキルセットは教えられてもマインドセットは教えられない」「仲間意識や一体感を持ってもらえない」などの課題が深刻化しているのです。

 そして、これらは新入社員に限った話ではなく、すべての社員に共通する課題です。退職に至るかどうかは別として、配慮のないリモート一辺倒の働き方や人事戦略は、社業を脅かすようになるリスクがあることは覚えておく必要があるでしょう。